連載:ドラフト直前!プロ野球敏腕スカウトの選手評価

即戦力となる「社会人・独立L野手」は? 敏腕スカウトが注目する3人のプレーヤー

瀬川ふみ子
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定評のある向山基生(NTT東日本)だが、何か一つ、抜きんでるアピールポイントがほしいようだ 【写真は共同】

 直前に迫った2020年ドラフト会議。「大学生に有力選手がそろう」という声が挙がる中、進学が確実視されていた超高校級投手・高橋宏斗(中京大中京高)がプロ入りを宣言したことでドラフト戦線が一転。役者がそろった今、敏腕として鳴らす苑田聡彦スカウト統括部長(広島東洋カープ)と米村明アマスカウトチーフ(中日ドラゴンズ)は、上位指名候補に挙がる選手をどのように評価しているのか。

 第4回は、「社会人・独立リーグ野手」編。プロ野球の世界で通用する即戦力として補強したいのが「社会人・独立リーグ野手」。失敗が許されないだけにプロのスカウトはより鋭く目を光らせる。その中で、スカウト実績が豊富な苑田・米村の両氏の目に留まったのはどの選手だろうか。

向山基生(NTT東日本/184cm、88kg、右右)

苑田スカウト「高い打撃センスは社会人野球で活躍した父親譲り」

 お父さんの向山隆康さんは社会人野球の熊谷組で活躍し、都市対抗準優勝にも貢献した選手。その当時も私はスカウトをしていて、実は、向山選手を獲得したいと思っていたんです。結果的には縁がなく指名には至らなかったのですが、とても良い選手だったのを覚えています。

 その息子の向山選手、パワーも肩もお父さんに負けていないですし、バッティングの勝負強さもある良い選手です。あとは、抜群に突出したところを何か一つものにしてほしいですね。そうはいっても、やはり、良いものをいろいろと持っている選手なので、注目はしています。

米村スカウト「ガムシャラさを見せてくれるとなお良い」

 肩が強く、無難に守備をこなせる外野手。スイングも力強くて、少し不器用なところもありますが、良いバッティングをしています。野球が好きで、プロに行きたい気持ちも強いようですが、もう少しアピールするというか、本気だというところを見せてくれるともっと良いですね。

 例えば、どんな打球であっても、ファーストまで全力で走るとか、外野の守備につくときに、全力じゃなくても8割ぐらいの力で走っていくとか。そういう点が向山選手はもう少しな気がするので、結果が出ないときこそ、ガムシャラさをこっちにも見せてくれたらいいなと。そういうのが見えたら、「お、プロに来ても本気でやってくれそうだな」と思って、獲得したくなるんです。

逢沢崚介(トヨタ自動車/175cm、81kg、左左)

苑田スカウト「明治大の系譜を継ぎ、さらなる成長に期待」

 明治大でプレーしていたときから見ていますが、芯でとらえるのがうまく、良い打球を飛ばしますね。打球が伸びる。チャンスに強いのも良い。球界を見渡すと、明治大出身の選手は卒業後に成長する選手が多いです。うちも、野村祐輔、上本崇司、森下暢仁が活躍してくれています。逢沢選手もそういう意味でも期待して見ています。

米村スカウト「プロに行ってもきっちり仕事をするバッターに」
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