
今年でデビュー60周年を迎えたアントニオ猪木が、3つのターニングポイントを振り返る本企画。連載4回目は、北朝鮮で初めて開催したプロレスの大会について。師匠の力道山への思いが実現したメモリアル大会は、集まった19万人の歓声が響き渡り、自身も初めての経験となったようだ。
師匠・力道山の「望郷の念」

――北朝鮮は猪木さんの師匠、プロレスの生みの親でもある力道山さんの故郷ですね。
俺が最初に北朝鮮に行ったのは1985年ですかね。俺は、あんまり在日朝鮮人だとか北朝鮮だとか、師匠(力道山)のことと合わせて考えてみたこともなかったんだけど。
国会議員になった時に、在日朝鮮人の人たちがたくさん資料を送ってくれたんですよ。それで、在日朝鮮人の人が書いたものだと思うんだけど、北朝鮮には「力道山物語」という本があって。それを見ていった時に、付き人をやってましたから、いろんな記憶が蘇(よみがえ)るんですよ。
――師弟関係ともなれば、そうでしょうね。
新潟で興行があった時に、ちょうど万景峰号が入港した時で、師匠は北朝鮮で暮らす自分の娘さんに会っているんです。そのことは、あとで分かるんですけどね。
娘さんはどういうあれかというと、1958年から60年頃かな。帰国船で北朝鮮に帰った人たちが「我が同胞(力道山)は今、こんなに日本で英雄になってがんばっているのだ」と伝えて、向こうの人たちが師匠のことを知ったんです。
娘さんはたしか俺と同い年だったと思いますけど、ずっと金日成(キム・イルソン=主席)さんが北朝鮮の一番いい大学に行かせてくれたり、面倒を見てくれていました。そういうことを知って「師匠の思いを故郷(北朝鮮)に届けよう」というのが最初なんです。
――師匠のために、故郷の人たちのために恩返しをしようと思われたと。
師匠は、1963年に韓国へ招待されているんです。当時の政界の裏部隊、児玉誉士夫さんや大野伴睦さんや、そうそうたる人たちみんなに「行こう」と勧められて。本人としてはあんまり行きたくなかったらしいんですけどね。
それで行ったら大歓迎を受けて、感動して。それで「一つだけお願いがある。板門店に行きたい」と言い出したようです。
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