
- 茂田浩司
- 2020年8月1日(土) 11:15
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今年でデビュー60周年を迎えたアントニオ猪木が、3つのターニングポイントを振り返る本企画。連載2回目は、パキスタン遠征の後編をお届けする。完全にアウェーの中で国民的英雄のアクラム・ペールワンの腕をへし折ったことで縁がつながり、一族の末裔(まつえい)を日本へ紹介することとなる。
アウェーの環境に身を置くと「闘う魂が燃えてくる」
――アクラム・ペールワンが「ギブアップしない」と見ると、猪木さんはアクラムの肩関節を外し、さらに目を突いた。その凄惨(せいさん)な状態になって、ようやくレフェリーが「アクラムは戦闘不能」と認め、勝敗が決しました。しかしながら、国の英雄が敗れたことでスタジアムは殺気立った。
あの空気は「もう殺されてもおかしくないな」というほど異様なものでしたよ。ただ、こういう話になると冗談みたいなんだけど、昔は勝つと両手を上げていたんです。勝って、両手を上げた俺を見て、イスラム教のアラーの神への祈りを捧(ささ)げているんだと観衆が思って、異様な空気だった会場がスーっと静まり返った。
――それも伝説の一部として語り継がれていますね。
翌日から大ヒーローですよ(笑)。ホテルの前には写真を撮ろうと大勢の写真屋が待っていて「猪木の写真を撮る」とひしめき合っていた。あの後、アクラムの弟が挑戦するしないがあって、パキスタンには1週間くらいいたのかな。
――しかし敵は10万人という圧倒的なアウェーの状況でした。そこにたった一人で乗り込んで、なぜ、そんな命の危険にさらされながらの闘いが出来たのでしょうか?
なぜ? それしかないんだもん。
――それだけご自身の強さに絶対の自信があったから、ということですか。
そんなに自信を持ったことはないんだけどねぇ(苦笑)。
――いえいえ、よほどの自信がなければ、10万人の中に1人で乗り込んでいけないですよね。
まあ「俺は強いんだ」とは思ってはいたけど(笑)。そこまで強さを過信するようなことはなかったんだけど、そういう場面に出くわしてしまうと、闘魂、闘う魂が燃えてくるというのかな。
――緊張や恐怖ではなく「闘魂」が燃えてくる。
そうなれば、やるしかないからね。
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