連載:2020年夏、高校野球逸材たちのいま

甲子園過去2大会で18打数10安打の強打者 作新学院・横山が木製バットで挑む夏

大利実
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ミート力、長打力両方の向上にむけて、木製バットを使うことにこだわる横山 【撮影:大利実】

 7月初旬、作新学院グラウンドを訪れると、横山陽樹は木製バットでスイングを繰り返していた。右ヒジの使い方を意識しながら、ネット裏のガラス窓に映るバッティングフォームを何度も確認。シートバッティングでは、センター方向に2本のヒットを放ち、適応力の高さを見せた。

 1年夏、2年夏の甲子園に外野手で出場し、通算18打数10安打。2年夏にはU-18W杯の日本代表に選ばれ、アメリカ戦では木製バットでホームランを放つなど存在感を示した。高校通算24本塁打。ミート力とパンチ力を備えた右の強打者として注目を集めている。

 打撃のこだわり、新チームから務めるキャッチャーのこと、代替大会への思い、進路についてなど、さまざまな角度から話を聞いた。

1年夏の甲子園で衝撃デビュー

キャッチャーとして、バッターとして、120パーセントの力で取り組んだトレーニングの成果を、この夏に披露したいと意気込む横山 【撮影:大利実】

 取材場所に現れた横山を一目見て、「誰かに似ているな……」と数秒考えたあと、頭に浮かんだのが藤原恭大(千葉ロッテ)だった。キリッとした端正な顔立ちがよく似ている。

「結構、言われます。嬉しいです」

 1年夏、甲子園のデビュー戦は、藤原や根尾昂(中日)がいた大阪桐蔭だった。1対3で敗れたが、一番ライトでスタメン出場を果たした横山は強烈な印象を残した。1回表、プレイボール直後の初球を迷いなく振り切り、柿木蓮(日本ハム)から三遊間を鋭く抜くヒットを放った。

「先輩から『初球を狙っていけ』と言われていて、思い切り振ることができました。甲子園に2度出させてもらった中で、一番思い出に残っているのがあの打席です」

 驚いたのが、夏の栃木大会ではメンバー外だったことだ。横山の攻撃力を買っていた小針崇宏監督が、甲子園からメンバーに入れ、一番打者に抜てき。1年生が、甲子園デビュー戦の1回表の初球に、結果を恐れることなくバットを振れる。肝っ玉が据わっていなければ、できることではない。
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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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