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大分商・川瀬堅斗の夏が再び動き出す
目指すは『師匠』森下暢仁と同じ舞台

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 プロ野球選手の兄と同じように、人懐っこい笑顔がトレードマークだ。しかし、175センチ・64キロの細い体で王者・福岡ソフトバンクのポジション争いを繰り広げている、兄の晃に対して、弟は183センチ・86キロというボリューム感満点の肉体を誇る本格派投手である。昨秋の九州大会では準優勝に輝き、結果として中止になってしまったものの、今春のセンバツ出場を勝ち取った。同じ大分商でプレーした高校時代の兄を結果で上回ったことで、彼は「川瀬晃の弟」ではなく、川瀬堅斗という1人の野球人として、立派に独り立ちした感さえ漂っている。

森下直伝の変化球で“プロ注”へと成長

現・広島の森下に教わった変化球を身につけ、川瀬はプロ注目の存在に上りつめた
現・広島の森下に教わった変化球を身につけ、川瀬はプロ注目の存在に上りつめた【写真:大分合同新聞社/共同通信イメージズ】

 最速は6月の紅白戦で記録した148キロ。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップを操る。このチェンジアップには2種類あり、回転の遅いパターンと、直球と同じような回転で鋭く落ちる“パワーチェンジ”がある。秋に効果を発揮したのはこの球種であり、それに加えて大きく精度を上げたカットボールも効果的だった。以前のような強気一辺倒のパワーピッチングだけでなく「好投手・川瀬攻略を」と気負う打者の打ち気をそらす、キレと制球力を備えた変化球の数々。それら全てを九州大会の大舞台で見せつけることによって、川瀬は九州屈指の“プロ注”投手に成長したわけだが、ここへ来ての急激な成長の陰には川瀬自身が「師」と仰ぐ大分商OBの存在があった。


 森下暢仁。昨秋のドラフト1位で広島に入団し、すでに先発ローテーションの一角として活躍。6月28日の中日戦でプロ初勝利を達成した。2020年の新人王候補筆頭格とも目されている。大分商3年時には高校日本代表に選出され、U-18ワールドカップにも出場。森下は川瀬の兄・晃と同学年だったこともあり、頻繁に兄の応援に足を運んでいた川瀬にとっては憧れの的であり、投手としての生きた模範であり、兄同然の存在と言っていい。


 明治大に在学中の森下は、オフの帰省で必ず母校のグラウンドに顔を出し、恩師の渡邉正雄監督や同じ帰省組の同級生らと旧交を温めることが恒例となっていたが、大分県内の古豪「大商」の伝統を継承する後輩たちにも積極的に声を掛け、指導することも珍しくなかった。そんな時、森下をひとり占めしたのが川瀬である。

加来慶祐

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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