マンUを変貌させたポルトガル人司令塔 ブルーノ・フェルナンデスの適応力
チームメイトのゴールを影からアシスト
ブルーノ・フェルナンデス(写真右)は小さな積み重ねを繰り返すことで、チームに適応していった 【Getty Images】
例えば、加入からおよそ一カ月後、UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグが行われ、ユナイテッドはホームでクラブ・ブルージュと対戦した時の話だ。この試合でホームチームは5-0で勝利したのだが、ファンを驚かせたのがシュートが苦手なブラジル代表MFフレッジが2得点も記録したことだ。これを受けてオーレ・グンナー・スールシャール監督は試合後の記者会見で「彼が次にゴールを決めるまで私が生きているかどうかわからないね」と冗談飛ばしたほどだ。
ただこの話には裏話があった。ブラジルメディア『Esporte Interativo』にフレッジが語った内容によると、なんとこの試合の前に、試合前に滞在していたホテルのテレビで偶然流れていたクラブのOBポール・スコールズのシュートシーンの映像を、フェルナンデスとフレッジが一緒に見ていたという。強烈なミドルシュートが持ち味で92年から13年までクラブで活躍したレジェンドの映像を見たポルトガル人は「これを君がやらなきゃ」とフレッジにアドバイスをしていたそうだ。
さすがにこのフレッジの活躍は偶然かもしれないが、フェルナンデスが日常的にチームメイトとさまざまなコミュニケーションをとろうとしていることは間違いない。
もっと小さいレベルで言うと、日々のちょっとしたお返しに、ゲームが好きなビッサカ、ダロット、あるいは守護神のダビド・デ・ヘアらに、ゲーム機のコントローラーをプレゼントしていると、フェルナンデス本人がユナイテッド公式HPに語っている。
おそらくこういう小さな積み重ねを繰り返すことで、チームに適応していったのだろう。
いずれにしても、気づけばフェルナンデスはユナイテッドで中心選手になっている。もう彼なしでは語れないほどの存在感だ。
今後も彼を中心にユナイテッドは強くなっていくはず。さらに言うと新しいチームメイトが加わった時には、その適応力やコミュニケーション能力を生かして、チームにフィットする部分もアシストするのか。
ピッチ内だけでなくピッチ外でも目を離せない存在である。