“怪物”ストライカーから指導者に J監督を目指す平山相太はどこを見る?

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仙台大体育学部に在学中の平山相太さん。サッカー部のコーチを務め、指導者の道を歩み始めた 【スポーツナビ】

 2018年の現役引退後、大学に進学した元祖“怪物”ストライカーこと、平山相太さん。現在は仙台大体育学部で勉学に励み、同大サッカー部のコーチも務めている。その平山さんが、7月11日のJリーグ第4節・川崎フロンターレvs.柏レイソルで解説に臨む。失礼ながら、現役時代の印象からは解説者のイメージが沸かないが、指導者を経験したことで、「サッカーの見方は変わった」という。将来Jリーグの監督を目指す平山さんは、どこに注目して試合を見るのか? ポイントを聞いた。

コーチ経験してサッカーの見方が変わった

――現在は仙台大体育学部の3年生ですよね。大学生活はいかがですか?

 はい、3年生になりました。あっという間ですね。時間が過ぎるのが早いなっていうくらい充実しています。勉強では、保健体育の教員免許取得のための授業を受けたり、いろいろな論文を読んでいます。今は新型コロナウイルスの影響もあって、リモートでの授業が続いています。本当は対面で授業を受けた方が分かりやすいし、もし分からないところがあれば授業が終わってから聞くことができるんですけどね。仕方ないですけど、リモートのデメリットもありますよね。

――学生の傍ら、サッカー部のコーチも務めていますよね。最近、練習はできていますか?

 7月になってようやく練習が再開しました。春休みもあって、昨年12月下旬からずっと大学に行けなかったんですが、練習が始まってやっと行けるようになりました。家にいることが多かったので、外で1時間半から2時間くらい太陽の日差しを浴びるのは、やっぱり気持ちいいです(笑)。

――コーチを務めて2年が経ったと思います。実際に指導をしてみてどうですか?

 大学生なので理解力もあって、サッカーに関しても知っているので、細かいアドバイスを伝える分には難しさはなかったです。ただ、練習や試合では、局面だけじゃなくて、全体を見る必要があるので大変ですね。例えば、あるプレーでの2人以上、3人以上の関係性だったり、その直前のプレーだったり。見る範囲が広いですよね。

――サッカーの見方は変わりました?

 だいぶ変わりましたね。前はボールをずっと追いかけていたんですけど、今はボールも見るけど、他の部分も見るようになりました。

――今回スポーツナビで「サッカー解説」に臨みます。これまで経験は?

 一昨年ですかね、何回かやらせてもらいました。久しぶりですね。初めて解説をしたときは自分がボールを追いかけてばっかりで。あと、見ている人に対して、どのへんまでサッカーについて話していいのかが分からなかったんです。でも、今は自分が持っている情報というか、見た上での分析を伝えていきたいなと思っています。コーチ経験が生きているので、前回とは違うと思います(笑)。

――失礼ながら、現役時代の印象からすると、平山さんが解説しているイメージがあまり沸かないのですが……。

 もともと仲がいい人と話すときは、自分が話すことも多かったんです。前は知らない人が見てたり、初めての人がいると、なかなか話せなかったですけど、今はそこは意識しないで自分の意見を言えるようになったと思います。

――「ボールがない局面」で、どんなことを意識して見るのですか?

 動き出しとかももちろん見ていますけど、一番見たいのは、そのチームがどういう狙いで攻撃をしたいのか、守備をしたいのか。試合開始からなるべく早く分析するようにしています。そこが一番大事だなと思っているので。それにプラスして、サッカーは攻撃をしながらも次の瞬間に守備をしなきゃいけないので、攻撃から守備への切り替え、守備から攻撃への切り替え、ポジショニング、カウンターといった4局面を見るようにしています。

――平山さんはストライカーだったので、前線の選手に目が行きやすいのでは?

 いや、特にそんなことはないですね。全体を見たいなと思っています。

オルンガはすべて兼ね備えたストライカー

平山さんが注目するのは柏の大型ストライカー、オルンガ。「すべてを兼ね備えている」と絶賛 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――Jリーグもついに再開しました。平山さんもJリーグをチェックされているということで、気になるチームだったり、選手はいますか?

 去年優勝した横浜F・マリノスには注目しています。再開初戦は浦和レッズとスコアレスドローでしたけど、やっぱりマリノス強いなっていう印象を受けました。もちろん、まだ始まったばかりだし、これから連戦なので、どうなるか分からないですけどね。ベストメンバーの11人で強いチームであることは当然ですが、今シーズンは選手層、控えメンバーの強さも大事になってきますから。

――古巣のFC東京はどうでしょう?

 多摩川クラシコ(川崎戦)でボコられてたので……。そういう試合をすると、(他チームに)弱点を分析されちゃいますよね。相手によって特徴は変わるので、同じようなシチュエーションはないと思いますけど、あの試合に関しては、FC東京の弱点が露呈したかなと。それを分析されて、やられるのか、あるいは改善していくのか。ここからFC東京がどう戦うのか、見ものですね。

 選手ではFC東京の大卒選手、MF安部柊斗が目につきましたね。輝いてるなと。前線の選手だと、柏のFWオルンガですね。まず背が高い(193センチ)。それでいてスピードもあって、強さもあって、ヘディングでゴールする感覚もあったりと、すべてを兼ね備えていますよね。持っているポテンシャルのクオリティーがJリーグの中でも高い。魅力ある選手ですね。

――ということは、川崎vs.柏の注目ポイントのひとつになりそうですね。

 柏のカウンターでオルンガが生きるんじゃないかなと。川崎のポゼッション率の高さを考えると、試合展開としては川崎がボールを支配つつ、柏がカウンターを狙う感じになりそうです。

――一方で、川崎はどうでしょうか?

(ピッチの)幅を使いながら、中を突いていく良さは変わってないですよね。個で打開する力もあるし、サイドはウイング、サイドバック、インサイドハーフが連携で崩していけるので、非常にバランスがいいなと思います。

――最後に、平山さんの解説のアピールをお願いします。どこに注目して見て、聞いてほしいですか?

 ボールがある場面を中心に伝えていくかと思いますが、それだけじゃないです。ひとつはボールを受ける前の選手の動き出し。自分もFWで大事にしていた部分でもあります。リプレーなんかがあれば、それを見ながら伝えていきたいですね。あとは指導者として、ボールがない局面でのプレー、駆け引きを伝えていくので、僕についてきてください(笑)。
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