岡田武史が本当に実現したいことは? 視線はサッカーを超えて、その先へ
第5回
「岡田メソッド」を通じて本当に伝えたいことは? その思いはサッカーにとどまらない 【スポーツナビ】
トレーニング映像Vol.5「Before & After 練習後にプレーはどう変わった?」はスポナビアプリ限定で公開
自立していたヒデ、ヤット、本田、闘莉王
ヒデもそうだし、ヤット(遠藤)もそうだし、本田(圭佑)もそうだったね。ほかにも(田中マルクス)闘莉王とか、ちょっとクセがあるようなヤツに多かったかな(笑)。でも、自立した選手が2、3人くらいでは、自律したチームにはならないというのが俺の感覚。そうした選手が6、7人集まったら違うかもしれないけど、2、3人だと周りに順化しちゃうんだよ。収まっちゃう。面白くないと言ったらアレだけど。
それは日本人の素晴らしいところでもあるんだけど、実は大きな問題でもあると思う。日本人はそれを日本人の素晴らしさだと美化している。それはそれでいいんだけど、裏返すと、大きな問題でもあると理解しないといけない。おそらく日本が島国じゃなかったら、この民族は絶滅しているよ。
――四方八方から、あの手この手で攻め込まれてしまって。
そんなお人よしみたいなことを言っていたらね。俺はこれからは生きていくのが大変な時代が来ると思っている。たくましさが必要というか。生存競争というのに近いくらいのね。そのとき、日本民族が生き残れるかどうかは、スーパーリーダーが登場するかどうかじゃなくて、一人ひとりが自立できるかどうかに懸かっていると思っていて。
チェ・ゲバラはキューバ革命を起こすわけだけど、最初にキューバに行ったとき、仲間は数十人だったそうだ。それで政府軍と戦うんだけど、ゲバラは地元民から絶対に略奪するなと。戦闘後は敵味方関係なく、政府軍の人間であっても負傷者は助けてやれと。彼を慕って反乱軍に加わる兵士もいたんだ。そうやって徐々に仲間を増やしていって、一人ひとりが自立した人間の集まりになって、革命を起こしたんだよね。最初から資金力があって、人数もいて、政府軍と対等に戦って勝ったわけじゃないんだよ。
大きな話になったけど、日本人が自立できていないのは、市民革命を一度も経験していないから、とはよく言われるよね。日本人が苦手とする主体的に自分の人生を生きるということを、サッカーの世界で実現する。そうしたら、こうなるんだ、ということを俺はやってみたいんだよ。
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