連載:再開J2、開幕J3を徹底的に語り尽くす!

不気味な今治、岩手は資金力アップ 番記者によるJ3展望座談会【後編】

飯尾篤史
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元日本代表監督の岡田武史氏が14年からオーナーを務めるFC今治が今季、ついにJリーグに参戦する 【写真:アフロスポーツ】

 6月27日にいよいよ開幕する今季のJ3リーグ。J2から降格した鹿児島ユナイテッドFCとFC岐阜、JFLから昇格したFC今治を迎え、18チームによって争われる。ロアッソ熊本に密着する井芹貴志氏、福島ユナイテッドFCを追いかける小林健志氏、SC相模原のオフィシャルライターを務める北健一郎氏に、上位が予想されるチームについて論じてもらった前編に続き、後編では今治や岩手など残りのチームについて語ってもらった。

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岐阜と熊本は同期であり、因縁も

浦和や鹿島でもプレーした実力派ストライカーの高崎寛之は岐阜に加入し、自身もチームも1年でのJ2復帰を目指す(写真は松本時代のもの) 【(C)J.LEAGUE】

――J2から降格してきた鹿児島ユナイテッドFCとFC岐阜、JFLから昇格したFC今治の印象はどうでしょうか?

小林(福島ユナイテッドFC担当) 鹿児島の金鍾成(キム・ジョンソン)監督はFC琉球時代、良いサッカーをしていたので、降格したのに切らなかったのは継続路線なんだろうなと。しっかり戦術が浸透してくれば、上位には絡んでくると見ています。

北(SC相模原担当) 少し気になるのは、メンバー構成ですね。小林さんもおっしゃるように金鍾成監督は攻撃的なサッカーで琉球を躍進させたイメージがある。ただ、今年獲得したFWのジョン・ガブリエルは去年まで相模原にいたんですけど、身長が194センチあってヘディングが武器で、つなぐサッカーに合うタイプじゃないんですよね。センターバックの青山直晃もビルドアップに優れたタイプではないので、金鍾成監督のサッカーとはタイプが異なるかなと。去年を見ていないので、なんとも言えないですが。

井芹(ロアッソ熊本担当) 鹿児島とは開幕戦で当たるんですよ。実は練習試合を2試合やっていて、1勝1敗でした。去年のプレシーズンにトレーニングマッチをやったときも、いい内容で熊本が勝ったので、そこまで強いという印象はないんですよね。去年の熊本もそうだったんですけど、J2から降格してきたチームって、対戦相手が食ってやろうと臨んでくるので、苦戦するかもしれませんね。

――岐阜に関しては、どうでしょうか? 熊本にとっては大木武監督の古巣なので、因縁のチームということになりますが。

井芹 そうですね。2008年に一緒にJ2に昇格した間柄なので、サポーターの間でも同期といった認識があるみたいです。ただ、監督も新しくなりましたし、謎めいていますよね。

小林 ゼムノビッチさんですね。清水エスパルスを率いていたのは20年近く前なので、当時の印象は薄い。16年から18年までは関東リーグ1部のVONDS市原FCを率いていたので、大卒選手の扱いには慣れているかもしれませんね。

 でも、さすがなのは橋本和、高崎寛之と、J1でもやれそうな、少なくともJ2ならレギュラークラスの選手を獲得したことです。上位にくる可能性は十分ありそうですね。

――今治はどうですか?

 今治は警戒していますよ。ある意味、今季の最注目チームじゃないですか。J3の場合、JFLから昇格してきたチームって情報が少ないので、昇格1年目のチームが旋風を起こすことがあるんですよね。一気にJ2昇格まで行くかどうかは別にしても、台風の目になる可能性はあると思います。しかも、今治は岡田武史会長という軸がしっかりしているので、監督は代わっても選手の入れ替えが少なく、積み上げがありそう。

井芹 確かに分からないので、怖さがあります。熊本にいた上原拓郎や園田拓也など経験のある選手が多数所属していて、怖いですよね。一回対戦してみないことには。

NOVAのバックアップを受けて

かつて京都や町田を率いた秋田豊氏がいわての監督に就任。昨季最下位のチームをどう立て直すか 【(C)J.LEAGUE】

小林 10番の有間潤もすごくいい選手です。ソニー仙台FC時代はガンガン点を取っていて、活動量があって、守備もサボらず、でも貪欲にゴールを狙いにいくタイプ。絶対にJリーグに行くだろうなと思っていました。

 第2の藤本憲明(ヴィッセル神戸)になり得ますか?

小林 ありえますね。JFLで4年連続ベストイレブンなんですよ(15〜18年)。彼がエースとしての仕事を果たせば、今治は怖い存在になると思いますね。

――ヴァンラーレ八戸(昨季10位)アスルクラロ沼津(同12位)、Y.S.C.C.横浜(同13位)、カマタマーレ讃岐(同14位)、いわてグルージャ盛岡(同18位)に関しては、どのような印象を持っていますか?
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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