連載:再開J2、開幕J3を徹底的に語り尽くす!

玉乃淳・新GMの新潟再建プラン 戦える選手たちと「あるべき場所」へ

吉田治良
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JクラブのGMへ華麗なる転身を遂げたかつてのファンタジスタ。「素晴らしい選手たちを補強できた」と胸を張る玉乃GMは、新潟を「あるべき場所=J1」へと導けるだろうか 【YOJI-GEN】

 2018年シーズン以来、J2での戦いを余儀なくされてきたアルビレックス新潟が、4年ぶりのJ1昇格を目指して大きな変化を遂げている。改革の旗印として、スペイン人のアルベルト・プッチ・オルトネダ新監督とともにその手腕が注目されているのが、ゼネラルマネージャー(GM)に就任した元Jリーガー、玉乃淳氏だ。15歳でアトレティコ・マドリーのユースに加入した“元祖・神童”は、どのような経緯でこのポストに就き、そしていかなる新潟再建プランを考えているのか。引退後は解説者としても人気を博しながら、ここ数年はサッカーの表舞台から遠ざかっていた玉乃GMが、昨年12月の就任以来、初めてメディアに口を開いてくれた。

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ただ新潟を強くするために正しい決断を

──元サッカー選手、そして引退後はテレビ解説者としても人気を博した玉乃さんですが、この3年ほどはサッカーの表舞台から遠ざかっていましたね。その間、いったい何をされていたんですか?(笑)

 広告代理店の博報堂DYメディアパートナーズで、スポーツビジネス全般に携わっていました。国内外の契約履行が主な業務でしたね。

──それが昨年12月、突如としてアルビレックス新潟のゼネラルマネージャー(GM)に就任された。おそらく、多くのサッカー関係者が驚いたと思います。

 もともとサッカークラブのGMというポストには興味があって、いつかやってみたいとひそかに考えてはいたんです。それに、博報堂はサッカークラブビジネスにも参画していて、僕自身もさまざまな交渉を担当していましたから、GMになるというのはまるで遠い話ではなく、ある意味、それまでの仕事の延長線上でもあったんです。

──新潟のGMに就任する直接的なきっかけは?

 前職では新潟のスポンサーもいくつか担当していて、そんな中で是永(大輔)社長とお会いする機会が何度かあったんです。そこで、「将来的にはGMをやってみたい」というお話をさせていただいたのがきっかけですね。僕がジョインする前に、すでに今季からスペイン人監督(アルベルト監督)が来ることが決まっていて、アシスタントコーチもフィジカルコーチもすべてスペイン人。だったら、やはり現場と経営サイドをつなぐためにも、スペイン語でコミュニケーションがとれて、海外との交渉経験もある人間が必要だろうという話になって、僕に声をかけていただいたんです。

──GMというポストについて、どんなイメージを持っていましたか?

 チーム編成のトップになるわけで、あらゆる決定を下していかなくてはならない責任重大なポジションだろうなと。

──選手からしてみれば、「査定をする人」でもあり、場合によっては嫌われ役も担わなくてはなりませんよね?

 別に僕は、誰かに好かれるためにこの仕事をやっているわけではないので。ただ新潟を強くするために、チームの目標としていることに対して、一つひとつ正しい決断をしていければいいと思っているだけです。そもそも全員に好かれるなんて無理ですからね(笑)。選手とフロントが同じ目標に向かって戦い、そうやっていつか、みんなで喜びを分かち合える日が来ればいい。

──チームの目標とはもちろん、4年ぶりのJ1昇格ですよね?

 あまりそれは口にしないようにしているんです。とにかく目の前の1試合、1試合を大切にというスタンスなので。でもまあいいか、言っちゃって(笑)。

──アルビレックス新潟というクラブには、以前から特別な思い入れがあったのですか?

 解説者時代も結構担当させてもらっていて、好印象は持っていました。とりわけサポーターの応援は国内トップクラス。ポテンシャルという意味では、Jリーグ全体の中でもずば抜けて高いチームだと認識していましたね。

かみついてでも勝ちにこだわる選手

今季獲得した新戦力はいずれも「本来J2にいてはいけない選手たち」(玉乃GM)。抜群のスピードと運動量を誇る右SBの大本も、そのポテンシャルはJ1レベルだ 【(C)J.LEAGUE】

──確かにサポーターは熱く、昨季のJ2でもリーグトップの集客力を誇りました。その応援に応えるためにも、そろそろJ1に復帰したいところですが、補強に関しては順調でしたか? GMがチーム作りの全権を握っているんですよね?

 はい。実は今、強化部長も兼任していて、選手補強については僕と監督ですべて決めました。

──理想通りの補強が?

 できましたね。もちろん、現場で実際に見た選手を獲得できればなお良かったですが、就任が昨年の12月だったのでそれは難しく、そういう意味では理想通りではなかったかもしれません。しかし、その中でできる補強としては、最高の選手たちをそろえられたと思います。

──浦和へ移籍した昨季のJ2得点王、レオナルド選手の代役として、昨年のブラジル全国選手権2部で15ゴールを挙げたファビオ選手を獲得しました。彼はどういったルートで?
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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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