ラ・リーガ会長が描く再開後のステップ「10日後にはスタジアムに観客を」

豊福晋

「観客がスタジアムに戻るのは非常に重要」

デバス会長にとって、リーグ戦の再開はすでに過去のこと。次は観客を入れての試合実施を目指している 【スポーツナビ】

 ハビエル・テバスは断言した。

「10日後にはスタジアムに観客を戻せるように、スペイン政府と交渉する」

 ラ・リーガ会長の口調は強く、自信に満ちている。発言はリーガ再開日(6月11日)、世界のメディア向けに行われたリモートインタビューの席でのことだ。

 残りの11試合は無観客――それが大方の予想だった。再開までこぎつけただけで御の字という見方が大半を占めていた。一足先にブンデスリーガが再開したが、ドイツは比較的感染者が少なく、スペイン、イタリア、イングランドとは比較にならないほど再開のハードルは低かった。

 しかし再開は、テバスにとってはすでに過去のこと。彼が描く次のステップは、がらんとしたスタンドに観客を入れることである。

「新型コロナウイルスは急激に弱まりつつある。今考えるべきは、どうやってこれまでのように戻れるか。スポーツ省、各地方の行政と会合を持ち、どのように観客を戻すのかを協議する。もちろん全員をスタジアムに入れることはできない。10%なのか、あるいは15%なのか。観客がスタジアムに戻るのは非常に重要なことだ」

再開を頑なに押し通した理由

 感染がピークにあった4月上旬、世界は悲観論に満ちていた。スペインでもリーグ中止を訴える声は多かった。そんな中、テバスだけは早期の再開を確信し動いていた。

「リーグ再開について弱気になったことは一瞬たりともない。常に再開できると信じていた。まずは5月15日の再開を目指し、次は6月第1週を目指した。そして最終的に6月第2週の再開にたどり着いた。フランスなど多くのリーグがリーグ中止という決断を下したが、誤った判断だ。それぞれの決断を尊重はするが、あれはミスだ。フランスでは各方面から重圧がかかっていたのだろう。イタリアも再開にこぎつけたが、困難を極めていた。私にも内外から多くのプレッシャーがあったが、再開が最善の選択だと信じていた」

 テバスが再開を頑なに押し通したのは、中止という決断がもたらす多くのマイナスを予見していたからだ。特に巨額のTV放映権のペナルティーはクラブにとっても、リーガにとっても大きすぎた。

「迅速な決断が必要とされていた。そのために大事なのはスピードだった」とテバスは言う。

 再開に向け、ラ・リーガはスポーツ省、保健省と日常的に連絡を取り合った。リーガ1部、2部の各クラブと毎週リモートで会議を行い、2週間に一度はリーグ全クラブを集め調整した。ドイツのブンデスリーガなど欧州各リーグとも週に2度ミーティングを行い、欧州サッカー連盟とはチャンピオンズリーグ(CL)とヨーロッパリーグの日程面を調整した。

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著者プロフィール

ライター、翻訳家。1979年福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経てライターとしてのキャリアをスタート。イタリア、スコットランド、スペインと移り住み現在はバルセロナ在住。5カ国語を駆使しサッカーとその周辺を取材し、『スポーツグラフィック・ナンバー』(文藝春秋)など多数の媒体に執筆、翻訳。近著『欧州 旅するフットボール』(双葉社)がサッカー本大賞2020を受賞。

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