ラ・リーガ会長が描く再開後のステップ「10日後にはスタジアムに観客を」

豊福晋

非常事態下でも意思を曲げず、信念を貫く

ラ・リーガは無観客試合で再開。残り11試合を消化し、7月19日にシーズン終了の予定 【写真:ロイター/アフロ】

 もともとテバスは権利関係専門の弁護士だった。クラブの会長や法務担当をリーガ1、2部を含む10クラブ以上で務めた。サッカーの法律の専門家だ。リーガ会長に就いたのは2013年。クラブスポンサー、選手、監督の契約をまとめてきた経験と自信が政府や協会との交渉時に生きる。

 コロナ後のサッカー界をテバスはこう予見する。

「クラブは3つの問題を抱えることになる。まずはチケッティング。これは試合やスタジアムミュージアムの入場料収入だ。そしてTV放映権のペナルティー。最後に移籍市場での売却が困難になること。今年は夏冬含め、移籍市場で大きな動きはない。これまでは移籍市場で30億ユーロ(約3600億円)の金が動いていたが、今夏は縮小し8億ユーロ(同970億円)程度になる。数年前のネイマール(バルセロナ→PSG)のような巨額の移籍は起こりえない。天然ガスを持っているクラブは別かもしれないがね。売却が減るクラブにとっては大きなマイナスだ。しかしリーガはもともと経営に関しては厳しく監視していたので、リーガのクラブの90%は影響を受けない。残りの10%は影響こそ受けるが、経営破綻するようなことはない」

 スペインではテバスは「独裁」と形容されることもある。意志を曲げず、信念を貫く。ストレートに物を言い、例えばレアル・マドリーやバルセロナらビッグクラブであっても気にせずにぶつかるため、各方面と揉めることも多い。敵の数は味方と同じくらい多い。プレミアリーグやセリエAのトップはここまでアクが強くはない。

 しかし新型コロナの非常事態下において、少々強引だが鉄の意志でスペインサッカーをけん引するリーダーの存在はプラスに働いた。今回のリモートインタビュー中、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のスペイン駐在員フィリッポ・マリア・リッチ記者は「セリエAにもテバスのようなリーダーがいれば良かったのだが」と話していた。

「再開は大きな一歩だ。しかし祝うのはまだだ。私は今シーズンを終わらせてから祝うことにする。大事なのは来季につなげることだ。来季のリーガは9月12日に始めたい。8月末のCL決勝に進むクラブがあれば開幕戦を1、2週間ずらすなど適切な対応をする。来季のCL開幕は10月なので、移籍市場最終日はCLのグループステージ開幕の1週間前に設定されるだろう。移籍市場の締め切りについては、各リーグと協議しているところだ」

 ラ・リーガを率いる信念の男。再開を迎えた会長の頭には、ポストコロナのサッカー界がすでに描かれている。

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著者プロフィール

ライター、翻訳家。1979年福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経てライターとしてのキャリアをスタート。イタリア、スコットランド、スペインと移り住み現在はバルセロナ在住。5カ国語を駆使しサッカーとその周辺を取材し、『スポーツグラフィック・ナンバー』(文藝春秋)など多数の媒体に執筆、翻訳。近著『欧州 旅するフットボール』(双葉社)がサッカー本大賞2020を受賞。

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