ラ・リーガ会長が描く再開後のステップ「10日後にはスタジアムに観客を」
非常事態下でも意思を曲げず、信念を貫く
ラ・リーガは無観客試合で再開。残り11試合を消化し、7月19日にシーズン終了の予定 【写真:ロイター/アフロ】
コロナ後のサッカー界をテバスはこう予見する。
「クラブは3つの問題を抱えることになる。まずはチケッティング。これは試合やスタジアムミュージアムの入場料収入だ。そしてTV放映権のペナルティー。最後に移籍市場での売却が困難になること。今年は夏冬含め、移籍市場で大きな動きはない。これまでは移籍市場で30億ユーロ(約3600億円)の金が動いていたが、今夏は縮小し8億ユーロ(同970億円)程度になる。数年前のネイマール(バルセロナ→PSG)のような巨額の移籍は起こりえない。天然ガスを持っているクラブは別かもしれないがね。売却が減るクラブにとっては大きなマイナスだ。しかしリーガはもともと経営に関しては厳しく監視していたので、リーガのクラブの90%は影響を受けない。残りの10%は影響こそ受けるが、経営破綻するようなことはない」
スペインではテバスは「独裁」と形容されることもある。意志を曲げず、信念を貫く。ストレートに物を言い、例えばレアル・マドリーやバルセロナらビッグクラブであっても気にせずにぶつかるため、各方面と揉めることも多い。敵の数は味方と同じくらい多い。プレミアリーグやセリエAのトップはここまでアクが強くはない。
しかし新型コロナの非常事態下において、少々強引だが鉄の意志でスペインサッカーをけん引するリーダーの存在はプラスに働いた。今回のリモートインタビュー中、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のスペイン駐在員フィリッポ・マリア・リッチ記者は「セリエAにもテバスのようなリーダーがいれば良かったのだが」と話していた。
「再開は大きな一歩だ。しかし祝うのはまだだ。私は今シーズンを終わらせてから祝うことにする。大事なのは来季につなげることだ。来季のリーガは9月12日に始めたい。8月末のCL決勝に進むクラブがあれば開幕戦を1、2週間ずらすなど適切な対応をする。来季のCL開幕は10月なので、移籍市場最終日はCLのグループステージ開幕の1週間前に設定されるだろう。移籍市場の締め切りについては、各リーグと協議しているところだ」
ラ・リーガを率いる信念の男。再開を迎えた会長の頭には、ポストコロナのサッカー界がすでに描かれている。