異例のシーズンを戦う難しさとは? “中畑清監督”流、今季の乗り切り方
どんな状況でも「絶好調!」の精神で戦ってほしい
今年の3月に無観客の中で行われた実戦形式の合同練習の様子。ファンがいないこの光景はどこか物足りなさを感じるが、中畑はこの張り詰めた雰囲気での好プレーに期待したいという 【写真は共同】
あれは本当、自己暗示だったんですよ(笑)。調子もよくないのに「絶好調!」と口で言うだけでね。でも実際、それでごまかして、乗り越えられることもあったからね。
――いえいえ、ごまかしでは通用しません。気持ちも大事な能力の一つですよね。
それは言えていると思いますよ。プロの世界では、気持ちが一番大事。今季だって不安材料はいくらでもあるけど、いいスタートを切れた選手は、とんでもない数字を出せる可能性もあるんじゃないかな。2013年のマー君(田中将大=現ニューヨーク・ヤンキース)のように、1年中負けなしとかね。ヘタすりゃ4割バッターが出てくるかもしれない。まあ、バッターは難しいかな。ピッチャーのほうが可能性はあるかな。試合数が減った分、チャンスは多くなるでしょう。
――無観客試合については、いかがでしょう。ご自身がそんな中でプレーしている様子は想像できますか?
私、今季東京ドームで無観客試合の解説をしたんですよ。選手は意外と1プレー、1プレーに集中できていたんじゃないかな。スタンドとか余計なところに目が行かない。ボール1個を巡る攻防が野球でしょう。その原点に帰ったような雰囲気があるのよ。すごく爽やかな、新鮮な気持ちになれるんだ。
――それは逆にいいことかもしれませんね。
いやあ、実況席から見ていた私たちも、ボールから目が離せない、グラウンド以外に目が行かないというかね。私なんか現役時代、スタンドプレーとか結構雑念のあるタイプだったから、たまにスタンドに意識が行っちゃっていたんだけれども(笑)。無観客だと逆に妙な緊張感があるんですよ。
――ではファンのみなさんには、中継の画面越しにその辺りを見ていただきたいですね。
私も解説しながら、集中できた(笑)。選手も無観客試合には今までにない良さも何か感じるはずですよ。だから決して無観客だからって、気が抜けたプレーになるわけじゃない。逆に張り詰めた雰囲気の中、集中力の高い好プレーに期待してください。
(企画構成:株式会社スリーライト)
中畑清(なかはた・きよし)
【写真提供:ドリーム24】