東洋大の五輪内定者3人、そして相澤の現状 酒井監督「1年延期で、今何をすべきか」
東京五輪は1万メートルを目指すという相澤。東洋大を卒業後は、マラソンだけでなくトラックでも強豪の旭化成へと入社を選択した。 【写真:アフロスポーツ】
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相澤の照準は五輪1万メートル代表
相澤には多くの実業団チームからオファーが届きました。旭化成チームはトラックもマラソンもレベルの高いトレーニングができる環境です。またオリンピック代表を多く輩出してきた伝統と文化のあるチームです。
――しばらく前に相澤選手は東京五輪の1万メートルを目指すとの報道がありました。
相澤の東京五輪における一番の照準は、1万メートルでの出場を目指すこと。参加標準記録である27分28秒というタイムを突破するか、世界陸上連盟が定めたポイントを取りにいかなくてはなりません。
日本のマラソンのレベルはここ3年ほどですごく上がっていると思いますが、1万メートルに関しては2015年の八王子ロングディスタンスで村山(紘太)選手(旭化成)が日本記録を出してから、更新されていません。3月に行われた東京マラソンを回避し、東京五輪の代表は1万メートルにしぼりました。
ただ、相澤の大学時代から掲げている「1万メートルとマラソンの両立をできる選手になる」というテーマは変わっていません。福島県出身の大先輩である円谷幸吉選手も24歳で迎えた東京五輪では、1万メートルで入賞、マラソンで銅メダルを取っています。現在の五輪標準記録は日本記録なので、まずは1万メートルの日本記録の更新を目指しています。
――OBで男子マラソン内定者の服部(勇馬)選手とは連絡を取ったりしましたか?
勇⾺に関しては、トヨタ(⾃動⾞)に任せていますので、まったく⼼配していません。勇馬と連絡はたまにとっていますが、トヨタの佐藤(敏信)監督からはよく報告をいただきます。
直近で勇馬と会ったのは、福島で行われた五輪の代表記者発表のときです。私が⾼校教員時代に福島陸協にかつて所属していた関係で、代表発表は現地にいました。
勇馬はまだこの時点では五輪の延期が決まっていなかったため、「4月以降もトラックに参加予定です。順調です。しっかり準備していきます」と言っていました。
アプリを駆使し、個々に応じて対応
「小さな奇跡に気づかなければ、大きな奇跡は起こすことができない」と語る酒井監督。今できることを再認識し、新たな挑戦へと歩みを進める。 【写真:松本健太郎】
マラソンと競歩は、リーダーのもとでいち早く、代表内定選⼿の変更はないと発表がありました。早く発表があったことで、代表内定選⼿やチーム関係者の心理面に配慮をしていただきました。妻と池⽥、川野は感謝をしています。⼤会が延期となったことで準備期間が延びたと捉えています。現在は⾃宅待機中で、環境的にできるトレーニングは制限されますので選⼿の⼼理⾯のケアが⾮常に⼤事です。
――とはいえ五輪が1年延びたことで、気持ちの持っていき方が難しい部分もあると思います。とくに競歩代表内定の2人は現役の東洋大の学生ということで、監督の中でも考えがあったりしますか?
競歩代表内定の池田(向希)と川野(将虎)は同じ内定選手でもどんな取り組みをしていくか、どんなテーマで進めていくかは、20キロと50キロでだいぶ違います。池田は今年3月の代表選考3戦目でつかみ取った代表内定ですが、川野は昨年秋にすでに代表内定を決めているため本番がおよそ2年近く後になります。この差も大きいと思っています。
競歩コーチの妻が二人とオンラインミーティングを行い、フォームの感覚や練習内容の相談があったり、フィジカル強化と柔軟性を高めるトレーニングについて話しています。アプリやLINEを駆使して、個々に応じた対応をしているので、安心して見守っています。
――最後にスポーツナビの読者に向けてお伝えしたいことはありますか?
一番はコロナの感染拡大をみんなで乗り切ろうということです。社会の一員として、第一にそれを考えています。
その一方で、仲間たちと一緒に走れる時間や走れる環境、背中を押してくれる家族のありがたみを実感しています。「小さな奇跡に気づかなければ、大きな奇跡は起こすことができない」と私は思っています。これまでがいかに恵まれているということを実感しながら、自分たちが今やるべきことや使命感を再確認するべきだと思います。もう一度チームが再結集できるようになってきたときに、生かせるように考えていきたいです。
今の状況が新しいものにチャレンジしたり、成長できるきっかけにもなります。新しいものと古いものの融合をしていきながら、選手たちと前に進んでいきたいです。
(協力:名久井梨香)
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