連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

創設以来の大きな危機、球団の考えは? コロナと闘う横浜DeNAベイスターズ・前編

村瀬秀信

青空の下で行われるはずの野球が、5月になっても始まらない。コロナ禍の今、DeNAベイスターズはどのようなことを考えているのだろうか 【(C)YDB】

 本来ならば今頃は開幕して40試合ほどが消化されていた頃だろうか。青空の下、球場でスポーツを観戦するゴールデンウィークが世界中から姿を消した、野球のない5月。

 それは、焼け野原同然だった2012年シーズンから球団経営に乗り出し、この8年間で右肩上がりに観客動員を伸ばして、横浜の町に野球の熱を取り戻した横浜DeNAベイスターズの奇跡的な成長に初めてストップをかけたもの。昨年に球団創設70周年を迎え、今年は約3年掛かりの大規模改修が完成した横浜スタジアムで五輪野球開催と、さらなる飛躍を遂げるはずが、やってきたのは新型コロナウイルス。

 期待は一転、大きな危機へと変わった2020年。ベイスターズはコロナ禍の今、何を考え、その先に何を見据えているのか。自宅で陣頭指揮を執る球団のキーマン・木村洋太副社長にオンラインで話を聞いた(取材日:4月22日)。

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ファンから伝わる「野球への飢え」

今や日本を代表するクローザーの山崎康晃。その山崎がMCを務める『突撃!ヤスアキマイク』は、選手の素顔を知ることができ、ファンとの距離を近付けるコンテンツだ 【(C)YDB】

「今現在チームは自主練習となり、この間に球団としてファンの方たちに何が提供できるかを模索しているところです。先日公開した山崎康晃投手がMCの配信企画『突撃!ヤスアキマイク』はかなりの再生数のようですし、野球ファンの方たちが野球に飢えていることは、ものすごく伝わってきています。ここでコミュニケーションをしっかり取っておかないと、ファンの方たちが離れてしまうという危機感も感じています。

 基本的にはこれまでわれわれがやってきた“お客さまのニーズを確実に捕らえて、徹底的に強化していく”という発想の下に、“今、家でどう楽しく過ごせるか”を考えてサービスを提供できるかなんですが、企画のために選手と接触して感染の危険に晒(さら)すことなどは絶対にあってはいけませんし、制限があるなかで、いかに知恵を出し合って今の時勢に合った面白いものができるかを考えています」
 開幕延期が決まって以来、各球団はそれぞれ特色のあるコンテンツを展開しているが、そこはさすが球界での動画制作に定評があるベイスターズ。前述の『突撃!ヤスアキマイク』をはじめ、選手たちがこの自粛期間に家でどう過ごすのかを伝えたり、スーパースロー映像を通じて濱口遥大が伝家の宝刀・チェンジアップの投球ポイントを教えてくれたりと、興味深いコンテンツを次々と公開している。

「いろいろと制限が掛かる状況にはありますが、だからこそ見直せることや新たな発見もあるのだと思っています。先ほどの動画企画のように実際にやってみたら、このままシーズンに入ってからも続けられそうな企画が生まれるかもしれませんし、現場では選手とコーチがリモートでコミュニケーションを取っているので、動画を使えることにより練習のやり方や育成の考え方が変わっていくかもしれない。それらは柔軟に考えていくことで物事を効率よく進めるチャンスになるかもしれませんからね」

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著者プロフィール

1975年8月29日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。プロ野球とエンターテイメントをテーマにさまざまな雑誌へ寄稿。幼少の頃からの大洋・横浜ファン。

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