連載:コロナ禍の散歩&ランを安全に行うために

コロナ禍の米国、市民ランナーの対応は? 距離間、マスク着用…ルール徹底難しく

及川彩子

新型コロナウイルス感染拡大で外出規制が続くアメリカ。市民ランナーたちはどう過ごしているのか 【Photo by Stephanie Keith/Getty Images】

 アメリカ・ニューヨーク州で外出規制が敷かれて、早くも7週目。

 3月中は気温が10度を下回ることも多かったこと、ニューヨーク市では新型コロナウイルスの感染者が激増し、常に救急車のサイレンが鳴り響いているような状況で外出を控える人が多かったことなどから、ジョギングをしている人もまばらだった。

 しかし4月下旬になり、4月29日時点ではここ数日、感染者が微減していること、また少しずつ気温が上がり、春らしい陽気になってきたこともあり、公園を走る人が多くなってきている。

アメリカでも散歩やランニングはOK

 新型コロナウイルスからの感染を防ぐために、アメリカでは『ソーシャルディスタンス(社会的距離)』、具体的には他者と6フィート(約1.8メートル)の距離をおいて行動すること、グループでは行動しないことが求められ、州によっては外出時のマスク着用が義務づけられている。しかし、それを遵守していれば、スーパーやドラッグストアへの買い物、散歩、ランニングなどは許可されている。

 ヨーロッパの一部の国では、買い物以外の外出禁止、外出の際には許可証持参、自宅から1キロ圏内のみでの移動許可など厳しい規制があるが、アメリカは常識の範囲で、という感じだ。

 ランニングに関して言えば、ニューヨーク市の場合、外出規制後にランニングをしていた人たちは、おそらく普段から定期的に走っているランナーがほとんどで、彼らは人が少ない朝晩に一人で公園や近所を走っていた。

 ジョギング歴10年以上で、全米のマラソン大会に出場している筆者の友人も「人がいない朝に走るようにしている。ほかのランナーにすれ違うときは、脇によけて、なるべく距離をとるように心がけている」と話していた。

陽気につられて? 市民ランナーが増加

春の訪れとともに、ランニングや散歩を楽しむ人も増えてきた 【及川彩子】

 一方、感染者が多かったニューヨーク以外では、グループで走るランナーも多く、SNSでその様子がリポートされることもあった。そのため、東京五輪のマラソン代表選手たちが「私たちも練習パートナーと走りたいけれど、我慢しています。グループで走っている一部の人たちのせいで、外で走る権利を奪われる可能性もあります。だから、なるべく一人で走ってください」とSNSで訴えることもあった。

 3月は不要不急の外出を控えていた人たちも4月に入り、運動不足や閉塞感に耐えられなくなってきたのだろう。ショッピングモールもカフェもバーもジムも開いていない、家に居るのも飽きた。だったら天気もいいし、公園で走ろう(歩こう)という人たちがニューヨークでは増えている。

 ニューヨーク州では集団行動は禁止されており、違反すると最高1000ドルの罰金が課せられる。そのためランニング同好会のグループはさすがに見かけず、単独もしくは2人程度で走っている人がほとんど。しかし運動不足を少しでも解消しようとウォーキングをしている人も多く、前後の人と2メートルの距離をとるのはなかなか難しいような混雑ぶり。わざわざ公園まで車で訪れ、ランニングをしている人もいる。

 ヨーロッパではランニング中は5〜10メートル以上距離をとった方がいい、というリサーチ結果も出ているが、「走っていて感染した例がない」と反論する人も多い。しかし一方で、「距離をとった方が、お互いに安心」という人も多い。

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著者プロフィール

米国、ニューヨーク在住スポーツライター。五輪スポーツを中心に取材活動を行っている。(Twitter: @AyakoOikawa)

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