連載:コロナ禍の散歩&ランを安全に行うために

コロナ禍の米国、市民ランナーの対応は? 距離間、マスク着用…ルール徹底難しく

及川彩子

自宅でできるウエイトグッズが売り切れに

自宅でワークアウトする人が増え、ダンベルやゴムチューブなどが飛ぶように売れているという 【Photo by Jessica Rinaldi/The Boston Globe via Getty Images】

 外を走る自由と権利があるランナーと比べて、苦境なのがジム通いができない人たち。外出規制と同時に、多くのジムやフィットネスセンターが一時閉鎖を発表。「ジムが閉鎖になったら、どこでトレーニングしたらいいんだよ」とまさに全米が叫んだ。

 大げさに聞こえるかもしれないが、アメリカには4万以上のジムがあり、2018年には1年に延べ60億回の利用があったというデータも出ているほど。

 アメリカでは体幹運動やウエイトトレーニングは、けがの予防などに効果的と言われていることから、市民ランナーたちも、ジムでマシンを使ったウエイトトレーニングとトレッドミルを組み合わせたり、春から秋にかけては外で走ってジムでウエイトトレーニング、また冬季はジムでワークアウトをする人も多い。

 そのためジム閉鎖の報せ(しらせ)とほぼ同時に、食料やトイレットペーパーの買いだめならぬ、ウエイトトレーニングに必要なアイテムを確保するために、通販サイトやショップに駆け込んだ人も多かった。

 郊外の一軒家に住んでいる人には、本格的なウエイトトレーニングの器具やトレッドミル、アパート暮らしや場所に制限のある人にはダンベルやケトルベル、ゴムチューブなどが人気で、スポーツショップや大手ショッピングサイトでは売り切れが相次いでいる。「出遅れてほしい重さのケトルベルが買えなかった。こんなことなら、もっと前に買っておけばよかった」と筆者の友人は嘆いていた。

外出規制がさらに厳しくなる可能性も

 ニューヨーク州では4月17日から屋外でのマスク着用が義務づけられた。マスクが手元にない場合は、スカーフやバンダナなどでも代用でき、「とにかく何でもいいから鼻と口元を布で覆ってください」というもの。ランニングももちろん例外ではないが、反応はそれぞれ。ランニングやウォーキングをしている人たちを観察していると、3つに分類される。

(1)ランニング中もマスクをつける派
(2)家から公園まではマスクをつけるけれど、走っている時はつらいのであごにかける派
(3)ランニングに関わらず、マスクをつけない派

 ソーシャルディスタンスと同様、マスク着用は自分自身ではなく周囲のため、と考える人も多い。

 ちなみにニューヨーク市ではマスク着用をしていない人を見かけたら写真を撮って通報するようにお達しが出ているが、ランニングの公園で写真を撮っている際に、「今、写真撮ったでしょ? 通報しないでよ」と女性に念を押された。だったらマスクつけたらいいじゃないのと思ったけれど……。

 ニューヨーク州の外出規制は5月15日まで延長された。感染者が増えればさらに延長、また外出規制が厳しくなる可能性もある。マスクをつけず、ソーシャルディスタンスも気にせずにランニングができる日が来るのはいつになるのだろうか。

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著者プロフィール

米国、ニューヨーク在住スポーツライター。五輪スポーツを中心に取材活動を行っている。(Twitter: @AyakoOikawa)

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