リーグ・アン、大半のクラブが倒産危機に 果てしない悪夢の中「連帯」で立ち向かう
エムバペはホームレスを支援する財団に数百万ユーロを寄付。特に厳しい状況に直面する人々に救いの手を差し伸べている 【写真:ロイター/アフロ】
(情報は現地時間2020年4月14日時点)
「総閉じこもり」は5月11日まで延長
フランスのエマニュエル・マクロン大統領がテレビでこう訴えたのは、3月16日夜。チャンピオンズリーグ、パリ・サンジェルマン(PSG)対ドルトムント戦の5日後だった。この「戦争」という言葉でフランス人は事態の深刻さを理解、見えない敵と戦う覚悟を決めた。
「Confinement」(コンフィンヌモン=閉じこもり)と呼ばれる原則外出禁止令が施行されたのは、翌17日正午。これをもって前線の現場で働く人々を除く全国民が、一斉に史上初の「総閉じこもり」に突入した。
すでに閉鎖されていた学校に続いて、医療、スーパー、パン屋、インフラ、清掃などの不可欠業種以外は、出勤、出張、移動をストップ。不要な外出はせず、人との接触を極力減らし、すれ違う場合は1メートル以上の距離をあけ、常に手を洗浄する。外出が許可されるのは、医療機関や薬局に行く、生活必需品を買いに行く、1日1回・1時間・1キロ以内の散歩またはジョギングをする、の3ケースのみ。それも1人でなければならず、必ず目的と出発日時を明記した外出証明書と身分証明書を携帯しなければならない。
他国と異なるのは、すかさず社会的措置を出した点だ。「お金がいくらかかろうと国民の命を守る」。大統領はこう言い切り、必要な施策が一気に発表されたのだ。
新型コロナウイルスの治療費は完全無料にすること。企業は在宅勤務者に給与全額を保証すること。コロナの影響による解雇は禁止すること。在宅勤務不能業種の一時失業者には、国が手取り給与の84パーセント(月上限5400ユーロ=約65万円)を保証すること。この一時失業制度を活用した企業は、株主に利益配当をしてはならないこと。違反者は罰せられること。
措置はまだ続く。個人自営業者用の公庫を設立し、一定以上の減収には月上限1500ユーロ(約18万円)の援助をすること。経営困難に陥った中小企業にも援助すること。医療関係者の子以外は自宅で在宅勤務教師のパソコン授業を受けること……。これらの措置により、閉じこもるための最低限の収入が保証され、少なくとも当座の生活不安だけは取り除かれた。
こうして800万人を超える一時失業者と相当数の在宅勤務者は、育児に追われ、毎夕発表されるコロナ死亡者数に恐怖しつつ、料理、お菓子づくり、ジョギングなどでストレスを紛らわせている。一方、閉店中の一部レストランや食品店は医療関係者に食事や食品を無料で差し入れし、一般人も独居高齢者の買い物支援、ソーシャルネットや自宅の窓辺で医療関係者を拍手で励ます連帯行動などを繰り広げているところだ。
その成果か、フランスのコロナ死亡者数は急な上り坂を終え、「高原に到達した」(オリヴィエ・ヴェラン保健相)。ただあくまでも高止まりで、予断を許さない。4月14日夕までのコロナ死亡者合計は1万5729人と、前代未聞の悲劇になっており、重症患者とその家族や犠牲者遺族は地獄を味わっている。このため「総閉じこもり」は5月11日まで延長された。
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