連載:「欧州5大リーグ」新型コロナ感染拡大の影響

セリエA、シーズン打ち切りは回避か 無観客再開が前提で中立地開催も視野

片野道郎
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ユーベ対インテル(写真)をはじめ、26節の1週延期分6試合が開催された3月8〜9日を最後に、セリエAは中断期間が続いている 【Photo by Getty Images】

 ヨーロッパの中でも、新型コロナウイルスの感染拡大により最も大きな被害が出ている国のひとつがイタリアだ。3月9日に全面的なロックダウンが宣言・実施され、セリエAも中断を余儀なくされた。だが、ここにきて感染者数の増加率が低い水準で推移しており、光明が見えはじめている。まだ全く予断を許さない状況とはいえ、セリエAもシーズン打ち切りという最悪のシナリオだけは、どうにか回避できそうになってきた。
(情報は現地時間2020年4月11日時点)

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状況次第では5月4日以降にロックダウン緩和も

 イタリアは、ヨーロッパで最も早くコロナウイルスCOVID19の感染拡大が始まった国だ。

 1月30日にイタリアを旅行中の中国人2名の感染が確認された後、2月21日に北部のロンバルディア州コドーニョで病院における集団感染が発覚。周辺の8自治体が封鎖されたが、その後も感染拡大が続き、3月8日の首相令でロンバルディア州全域と周辺3州の一部、翌9日にはイタリア全土で移動および不要不急の外出を禁止する全面的なロックダウンが宣言・実施された。

 その時点でイタリア全体の感染者数は9172人。大部分はロンバルディアとその周辺3州に集中しており、なかでも同州ベルガモ県、ブレシア県など爆発的に感染が拡大した地域では、集中治療室や人工呼吸器がそれを必要とする全患者に行き渡らない、医療従事者の集団感染が進むなど医療崩壊も進行していた。

 その後も状況はなかなか好転せず、ロックダウン開始からちょうど1カ月が経過した4月9日の時点で、累計感染者数は14万3626人、死者は1万8279人(致死率12.7%)に達している。ロックダウンも当初は3月23日までの予定だったところが、再三の延長によって5月3日までの継続が確定となっている。

 ただし、感染をめぐる状況そのものは、ここに来てようやく好転へと向かいはじめたように見える。感染者数の増加率は、ピーク時(3月7日)の22.7%から1%前後まで低下してきており、直近7日間平均の感染者数、死者数も減少傾向に転じている。ジュゼッペ・コンテ首相は、5月3日までのロックダウン延長を発表した会見の中で、慎重な姿勢を保ちながらも、今後の状況によっては5月4日以降のロックダウン緩和(解除ではない)も不可能ではないことを示唆した。

残りの日程消化にめどが立つ可能性が高い

現在はチームとしてのトレーニングも全面的に禁止されている 【Photo by Getty Images】

 イタリアで暮らす人々(筆者も含む)は、ロックダウン開始の3月9日以来、食糧や日用品の購入など極めて限られた機会を除き外出そのものが許されない(外出時には理由を明記した自己申告書の携帯が必須)という厳しい条件下での自宅隔離を強いられてきた。まだ単なる可能性に過ぎないとはいえ、それが永遠に続くわけではないことが示されただけでも、一歩前進には違いない。イタリア社会を支配してきた閉塞感もこれで多少なりとも和らいだ感がある。

 それは、セリエA中断から1カ月以上が過ぎたイタリアサッカー界についても同じように当てはまる。もしロックダウンが緩和されれば、現在は禁止されているチームとしてのトレーニング再開、そしてリーグ戦の再開とシーズンの残り日程消化について、何らかのが立つ可能性が高いからだ。

 セリエAが中断されたのは、首相令によってロックダウンが宣言された3月9日のことだが、そこに至るまでには紆余曲折があった。
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著者プロフィール

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。2017年末の『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』(河出書房新社)に続き、この6月に新刊『モダンサッカーの教科書』(レナート・バルディとの共著/ソル・メディア)が発売。

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