連載:「欧州5大リーグ」新型コロナ感染拡大の影響

ラ・リーガは夏に無観客で再開が有力か 現時点で想定される3つのシナリオ

山本美智子
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 イタリアと並んで新型コロナウイルスの感染被害が深刻なスペイン。3月14日に発令された警戒事態宣言は4月26日午前0時までの延長が決定し、当然ながらラ・リーガも現在は無期延期状態にある。テレビ放映権料もチケット収入も途絶えたラ・リーガが被る損失は莫大(ばくだい)な金額になりそうだが、現時点でのメディアの見立てでは、「7〜8月に無観客でシーズン再開」というシナリオが有力のようだ。
(情報は現地時間2020年4月12日時点)

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死亡者の中にはマドリーのサンス元会長も

スペイン・サッカー界への感染拡大の原因となったと見られるのが、CLのバレンシア対アタランタ戦だ 【写真:ロイター/アフロ】

 2020年3月14日の午前0時、スペイン政府は新型コロナウイルスの感染拡大封じ込めのため、警戒事態宣言を発令。不要不急の外出制限措置をとり、それに違反した国民には高額の罰金を科した。

 発令前日時点のスペイン国内における感染者数は4231人、死者は121人だった。しかし、発令後もその数は増え続け、約1カ月が経過した4月12日現在、感染者数は16万6019人、死者は1万6972人に達している。そして、その死亡者の中には、レアル・マドリーのロレンソ・サンス元会長、バルセロナやアトレティコ・マドリーで監督を務めたラドミール・アンティッチ氏など、サッカー関係者も含まれている。

 ラ・リーガに最初の警鐘が鳴らされたのは、2月27日。取材のため、バレンシアとともにイタリア・ミラノへ遠征したジャーナリスト(のちに回復)に、新型コロナウイルスの症状が確認されたと報じられた時だった。

 さかのぼること8日前の2月19日、チャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16第1レグのアタランタ対バレンシア戦が行われたミラノのサン・シーロ・スタジアム(アタランタのホームスタジアムの収容人数がCLの規定に満たないため)は、当時まだ感染者ゼロ地域であり、試合にはアタランタの地元ベルガモから全人口の3分の1にあたる約4万人が、さらにバレンシアからも約2500人のサポーターが応援に駆けつけた(編集注/ミラノとベルガモはいずれも、その後イタリアで最も深刻な被害が出るロンバルディア州の都市)。

 観客の大半が満員に近い地下鉄を使ってサン・シーロへ向かい、スタジアム周辺ではサポーター同士の交流もあり、仲間内ではビールの回し飲みなども行われていたと、現地紙は報じている。

 そして3月10日には、すでに新型コロナウイルスに関するニュースが連日報じられていたにもかかわらず、予定通りバレンシアのメスタージャ・スタジアムで第2レグが開催された。ただし、この一戦は感染拡大を憂慮したスペイン中央政府保健省の決定により、無観客試合となっている。
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