連載:春のセンバツ キラリと光る球児を探せ!

「小さな巨人」の打球が甲子園を切り裂く 明豊・布施のスイングスピードに注目

加来慶祐
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明豊の「小さな巨人」の系譜を受け継ぐ布施心海。持ち前の鋭いスイングで、甲子園での爆発に期待したい 【写真は共同】

 この男にとって、171センチ、68キロのサイズはハンデにならない。明豊・布施心海。野球選手としては決して大柄とは言えないが、強烈なスイングと野球勘の良さを武器に、1年夏からレギュラーを担う。現在は高校通算22本塁打の3番打者として、強力打線の中心に君臨している。

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小さな体から繰り出されるパワフルなスイング

 布施は4強に進出した昨年のセンバツでも全試合で3番を打った。初戦の横浜戦では大会ナンバーワン左腕として注目された横浜の及川雅貴(現・阪神)から、内角低めのスライダーを上手くすくって2点適時打を放つなど活躍を見せた。また、九州王者として出場した昨秋の神宮大会では健大高崎に敗れ、初戦で姿を消したが、布施は3打数2安打。2打席目に相手先発の橋本拳汰から放ったレフトフェンス直撃の二塁打は火を噴くような打球で、そのスピードに球場が大きなどよめきに包まれたほどだった。

 某セ・リーグ球団のスカウトも布施の素質は高く評価している。

「打撃が柔らかいうえにパンチ力もある。変化球への対応もできる。大舞台で発揮される集中力も好印象」

 また、布施と対戦経験のある捕手が残した証言も面白い。

「『この球は見送るんだ』と思って、安心して捕球しようとした瞬間にスイングをかけてきました。それが左中間の一番深いところへの“フェン直”です」

 それほどまでに布施のスイングは強く、速い。そして、右の長距離タイプがそろった今年の明豊打線においても、飛距離はチームで一、二を争う。この小さな体のどこに、それほどまでのパワーを秘めているのか。そこで、明豊を卒業した2人の先輩打者の顔が思い起こされるのである。
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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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