埼玉栄OBの3人が織りなす、絆の物語 最後の箱根で有終の美を飾るのは誰か

酒井政人
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埼玉栄高でチームメイトだった(左から)駒澤大・中村大聖、国学院大・土方、東海大・館澤 【写真:アフロスポーツ】

 駒澤大・中村大聖、国学院大・土方英和、東海大・館澤亨次(すべて4年)は、埼玉栄高時代のチームメイトだ。現在は全員がそれぞれのチームで主将を任され、ライバルとして互いを認め合っている。そんな3人の思いが、今季の出雲駅伝で交錯した。最終区で激戦を繰り広げた中村と土方、そして2人を歯がゆい思いで見守っていた館澤。最後の箱根を目前に吐露した彼らの思いに、耳を傾けてほしい。

埼玉栄高に入学後、頭角を現した中村大聖

駒澤大・駅伝主将の中村大聖 【水上俊介】

 駒澤大で駅伝主将を務める中村大聖には、常に気になる存在がいる。館澤と土方だ。

「高校時代は館澤君がライバルで、大学では土方君が最大のライバルです」と中村は言う。高校から本格的に陸上競技に取り組んだ中村にとって、館澤と土方は格上の存在だった。

 中学時代、サッカー部に所属していた中村は、陸上部の顧問・阿部直先生の熱心な勧誘で駅伝に参加。その走りに非凡な才能を感じた阿部の強い勧めで、中村は陸上の名門・埼玉栄高に進学。新たな競技人生が幕を開けた。

 中村は埼玉栄高の地元・埼玉県出身。そんな彼にとって、県外から入学してきた館澤と土方は、まるでエリートのように見えたという。

「(館澤君と土方君とは)最初はライバルと言えないくらい、大きな差がありました。3000メートルは僕が9分10秒くらいでしたが、館澤君は8分46秒、土方君は8分53秒。2人とも全国大会に出場するような選手でした」

 だが、中村は急速に頭角を現した。陸上経験ゼロからのスタートにもかかわらず、高校1年時の県駅伝からレギュラーの座を確保。そして、3年連続で全国高校駅伝に出場し、2年時には全国で3位に入った。高校時代は館澤がエースで、中村は準エースという位置付けだった。一方、土方は故障と貧血に悩まされ、都大路を走ることはできなかった。
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著者プロフィール

1977年愛知県生まれ。東農大1年時に箱根駅伝10区に出場。陸上競技・ランニングを中心に取材。現在は、『月刊陸上競技』やビジネス媒体など様々なメディアで執筆中。『箱根駅伝ノート』(ベストセラーズ)など著書多数。

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