連載:日本スポーツ界の若き至宝

久保建英は世界一の選手になれるのか 金子達仁氏がその可能性を語る

飯尾篤史
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スペインに移籍後、初ゴールまで約3カ月を要し、日本代表でもまだゴールを奪えていない。久保は“持ってない”選手なのだろうか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 何もかもが規格外だ。幼少時にバルセロナの下部組織で育ち、FC東京のアカデミー加入後も、最年少記録を次々と塗り替えてきた。中学3年時にトップチームに2種登録され、高校1年時にプロ契約を締結。17歳でFC東京のレギュラーとしてチームをけん引し、日本代表にも選出された。そして、18歳の誕生日から10日後の6月14日に発表されたレアル・マドリーへの移籍――。

 果たして久保は、カタール・ワールドカップ(W杯)で日本代表のエースとなれるか、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドのように世界一の選手になれるのか。中田英寿、礒貝洋光、柿谷曜一朗といった名手との親交も深いスポーツライター・ノンフィクション作家の金子達仁氏が、その可能性を語る。

ある日突然、“持ってる”男になる

――スペインのラ・リーガが開幕して3カ月。マジョルカの久保選手がようやく初ゴールを決めました。ずいぶん時間がかかったという印象ですが、どう感じていますか?

 慣れるまでに時間が必要だったと思いますよ。

――そもそも金子さんは、Bチームであってもレアル・マドリーに残ったほうがいい、あるいは、期限付き移籍をして1部リーグでのプレーにこだわったほうがいい、どちらのお考えでした?

 絶対に試合に出たほうがいいと思うので、マジョルカに行くべきだと思っていましたね。

――かつてアトレティコ・マドリーのアカデミーに所属していた玉乃淳さんは、「残るべき」と話していました。

 もちろん、そういう考えもありますよね。

――「(レアル・)マドリーに戻って来られなくなる可能性が高いから」だと。

 じゃあ、久保くんがマドリーに戻りたいのか、どこまでマドリーに執着しているのか、っていう話ですよね。彼にとってスペシャルなクラブは、子供の頃に在籍していたバルサであって、マドリーじゃない。バルサからどこかに出て行くのであれば、抵抗があったと思うんだけど、マドリーに入った時点で、彼にとって重要なのは1部リーグでの出番や活躍であって、バルサ以外はどこも一緒だと思います。

――金子さんはよく「引きが強い選手じゃないと成功しない」とおっしゃっていますよね。たしかに中田さんも本田圭佑選手も、引きが強かった。では、久保選手はどうですか? スペインでのデビュー戦でゴールを奪えたわけでもなく、日本代表でもなかなかゴールを奪えていませんが。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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