- 中島大輔
- 2019年11月8日(金) 11:35
台湾の熱狂的な応援に包まれた球場

台中インターコンチネンタル球場で行われたプレミア12のオープニングラウンド最終戦・台湾戦は、侍ジャパンにとって完全アウェーの雰囲気に包まれた。2万465人で超満員となったスタンドは相手カラーの赤に染まり、スピーカーから鳴り響く応援団長の号令とともに大観衆が立ち上がって声援を送る。序盤に鈴木誠也(広島)の本塁打などで4点を先行した侍ジャパンだが、先発マスクをかぶった會澤翼(広島)はいい流れとは感じられなかった。
「あの大歓声なので、(投手を)落ち着かせることと(配球が)単調にならないことを意識してやっていました」
鈴木のタイムリー三塁打などで先制した後の1回裏、侍ジャパンの先発・今永昇太(横浜DeNA)は先頭打者のワン・ウェイチェンに2ストライクから内角低めに投じた144キロ速球をセンター前に打たれた。
「自信を持って投げ込んだストレートをセンター前に弾き返されて、大丈夫かなと自信を失いかけたところがありました」
今永は初回2死一、三塁のピンチを相手の走塁ミスもあって無失点で切り抜けたが、3回にまたしても1死満塁と走者を背負う。
「台湾の打者は1番から9番まで鋭いスイングをしていて、僕の中でいろんなことに苦労した一日だったと思います。真っすぐをファウルにしたりとか、結構ボール球を振ってくれたりもしたんですけど、いつまでも真っすぐを待っているなという感じが最後までありました」

今永が試合後にそう振り返った一方、1点でも失うと相手に流れが傾きかねないこの場面で、最年長捕手の會澤が巧みなリードを見せた。
右打者の4番リン・ホンユーにはストレート、カットボール、チェンジアップを織り交ぜて2ボール、2ストライクとし、5球目には速球勝負でサードライナーに打ち取った。続く左打者のジュウ・ユーシェンに対しては、この日効果的だったチェンジアップを軸とした配球で組み立ていく。
「チェンジアップ勝負にどうやって持っていくかを考えていました。最初に持っていくのか、最後に持っていくのか」
初球は内角低めに逃げていくチェンジアップを振らせると、2球目は内角高めのストレートで追い込み、3球目は外角に148キロのストレートが外れる。すると一転、チェンジアップで勝負をかけた。4球目は見逃されたが、5球目は外角低めのボールゾーンに沈む球でバットに空を切らせ、ピンチを無失点で切り抜けた。