独立保つか、NPBのファーム化か…台湾野球はどこへ行く?

石原豊一
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味全再加盟は球団数回復の第一歩

再びCPBLの舞台に帰ってきた味全に川崎宗則が加入。日米で人気を博した「ムネリン」は台湾でも注目を集めそうだ 【写真は共同】

 今夏、台湾プロ野球・CPBLに2つの大きなニュースが飛び込んできた。

 まずは5月、リーグ発足年の1990年の優勝球団で、97年から3連覇しながら解散してしまった味全ドラゴンスが再加盟を発表。早速チーム再建に乗り出した。

 アテネ、北京の両オリンピック、第1回WBCに出場するなど、長らく台湾ナショナルチームの正捕手を務めてきた球団OBの葉君璋を監督に迎え、南部の町・雲林県斗六を2020年から二軍の本拠とし、キャンプを開始したのだ。そして福岡ソフトバンクで人気を博した元メジャーリーガー、川崎宗則を選手兼任コーチとして迎え入れたことは、日本でも大きく報じられた。

 90年代終盤からの2リーグ分裂状態に終止符を打つべく行った、2003年シーズン前の「大合併」により1リーグ6球団制で再スタートを切った台湾プロ野球だったが、08年に再び野球賭博問題が起こると、これにかかわっていた米迪亜ティーレックスが除名、野球人気低下を懸念した中信ホエールズが球団を解散した。

 これ以降、CPBLは4球団制となったが、近年これを拡大する機運が持ち上がっていた。18年オフには、提携関係にあり、各球団が現地ウィンターリーグに選手を派遣しているオーストラリアから選抜チームを参加させる計画なども取り沙汰された中、CPBLは球団数回復の第一歩として老舗球団の再興を認めたのだ。

シーズン途中の身売り発表

ラミゴのホーム、桃園国際棒球場では女性ファンの姿が目立つ 【石原豊一】

 そして、7月には、現在、人気・実力ともに台湾ナンバーワンのラミゴ・モンキーズが球団売却を発表した。

 シーズン真っただ中での今シーズン限りでの身売り発表は、台湾球界を揺るがした。その後9月に発表された身売り先が、日本ではプロ野球だけでなくサッカーJ1のヴィッセル神戸も保有するIT企業・楽天であることも驚きをもって報じられた。今から思えば、それまで千葉ロッテ、北海道日本ハムとシーズン前に交流戦を行っていたラミゴ球団と東北楽天が台湾でオープン戦を行ったことは、この球団譲渡の布石だったのかもしれない。
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著者プロフィール

立命館大学大学院国際関係研究科修了。国際関係学博士。専門は、スポーツ社会学・スポーツ産業学。著書に『ベースボール労働移民―メジャーリーグから「野球不毛の地」まで―』(河出書房新社)がある。

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