連載:井上尚弥、さらなる高みへ

井上尚弥にとってドネア戦は“通過点” その先に広がる世界的スターダムへの道

杉浦大介
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「彼は世界を震撼させた一番のボクサー」

WBSSプロモーターのザワーランド氏は井上(写真右)について、会見で「ロマチェンコ、アルバレスに並ぶ」とコメント 【写真は共同】

「優勝して、この先、まだ自分が見てみたい景色がたくさんある」

 11月5日、東京・九段下のホテルグランドパレスで催された最終記者会見で、WBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)はそう語り残した。その言葉通り、5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)と相まみえるワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝は、“運命的な戦い”であるとともに、まだ26歳の井上にとっては巨大な“通過点”でもある。この試合をクリアすれば、また新たな世界が視界に入ってくるからだ。

「彼はここ2年で階級を変えずに世界を震撼(しんかん)させた一番のボクサー。ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)やサウル・アルバレス(メキシコ)に並ぶパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じて最強)だと思っている」

 WBSSプロモーターのカレ・ザワーランド氏が会見でそう述べていた通り、日本が生んだ“モンスター”の名声は世界のボクシングファンに轟いている。ボクシングの本場であるアメリカでの知名度はやはりまだコアなマニア限定ではあるが、それでも『リングマガジン』、『ESPN.com』といった米国内の著名な媒体のパウンド・フォー・パウンド・ランキングでも井上は確実に4位以内に含まれている。今夜、アメリカでも知名度の高いドネアを衝撃的な形で倒せば、その評価と知名度がさらに上がることは間違いない。

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既に井上側には複数のオファーが

井上はボブ・アラム・プロモーターの下での新展開が見えてきている 【写真:ロイター/アフロ】

 ファイトウィークのイベント期間中、会場には米最大級のプロモーター、トップランク社のトッド・ドゥブーフ社長の姿もあった。

「トップランク社の傘下選手が出場しているわけでもない日本の興行に、なぜあなたがいるのか。」筆者がそう水を向けると、同社のビジネス部門のトップでもあるドゥブーフは苦笑いで言葉を濁した。
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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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