連載:井上尚弥、さらなる高みへ

井上尚弥の相手、ドネアとは何者か “運命の日”へ自信を見せるレジェンド

杉浦大介
アプリ限定

11月7日、WBSS決勝で激突する井上とドネア(写真左から) 【写真は共同】

“現代軽量級のレジェンド”――。

 フィリピンが生んだ5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)をそう呼んでしまっても、ボクシングファンは誰も異論はないだろう。“レジェンド”は最近では乱用されているフレーズだが、軽量級ではドネア以上にその呼称が相応しい選手はほとんどいない。

 約18年に及ぶプロボクサーとしてのキャリアの中で、フライ級、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級、フェザー級を制覇。比較的選手寿命が短い軽量級において、36歳になった今でもWBA世界バンタム級スーパー王者であり続けていることはほとんど驚異的である。

 通算成績は40勝(26KO)5敗。対戦相手の中にはフェルナンド・モンティエル(メキシコ)、西岡利晃(日本・帝拳)、ホルヘ・アルセ(メキシコ)、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)、カール・フランプトン(イギリス)といったビッグネームが含まれている。強豪対決がなかなか実現しない昨今のボクシング界において、通称“フィリピーノ・フラッシュ(フィリピンの閃光)”は一服の清涼剤のような存在であり続けてきたのだ。

※リンク先は外部サイトの場合があります

その迫力は軽量級でも例外中の例外

2012年には西岡と対戦したドネア(写真左)。このときは9RTKO勝ちを収めている 【Getty Images】

「ただ勝つだけでなく、ファンを喜ばせる試合がしたいんです」

 台頭期からドネアは常にそう語り、有言実行を貫いてきた。アジアの小柄なファイターがアメリカでもビッグネームになれたのは、複数階級でタイトルを勝ち取っただけではなく、前述通りに多くの強豪と戦い、エキサイティングなファイトを頻繁に生み出してきたからに他ならない。
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ

1/2ページ

著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント