ドイツの記憶を思い起こす ブンデスリーガ探訪記 前夜
ラ・リーガに続くメディアツアーに参加
到着して早々にブンデスリーガから渡されたお土産。公式グッズが詰まっている 【スポーツナビ】
我がスポーツナビでは、いま「メディアツアー」がちょっとしたキーワードだ。9月末にはスペインのラ・リーガ主催メディアツアーに後輩が参加している。世界各国のジャーナリストが集結する中、日本からはスポーツナビが指名されたのだ。ラ・リーガのデジタル戦略を学び、レガネスやヘタフェといったマドリー近郊のクラブを訪問。最後はマドリーダービー観戦と、ラ・リーガの魅力に触れた(詳細は現地リポート「ラ・リーガ探訪記」を参照いただきたい)。
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個人的な話で恐縮だが、ドイツには過去2回訪れている。いずれも2005年のこと。当時、サッカー専門誌「ワールドサッカーグラフィック」に勤めていたころ、ワールドカップ(W杯)・ドイツ大会を翌年に控え、その準備の一環としてドイツを訪れた。1回目はドイツ各都市を視察。W杯本番を見据え、街紹介のガイドを作成するとと同時に、W杯取材時の拠点を探したり、移動のシミュレーションを兼ねたものだった(残念ながら、私はドイツW杯は現地取材ではなく、日本での留守番部隊だったのだが……)。2回目は某スポーツメーカー主催のメディアツアーだ。ミュンヘンのアリアンツ・アレナで行われた新スパイク発表、さらには製作工場を訪ね、その模様をリポートした。
もっとも、14年も前のことであり、記憶は断片的だ。今回のドイツ出張が決まってから、当時の雑誌を引っ張り出してようやく思い出したこともある。例えば、編集後記ではアリアンツ・アレナでボールを蹴ったことを自ら報告しているのだが、そんなこともあったかな、くらいで、どんなシチュエーションだったのかは悲しいかな、覚えていない……。
もうひとつ、抱くのは隔世の感だ。メディアツアーはともかく、街紹介のためにコーディネーター付きで現地取材するとは、なんともぜいたくな話である。そもそも、月刊誌を作るため、毎月誰かが海外取材を繰り返していた時代だ。サッカー専門誌の市場縮小が続く昨今では、到底考えられない。ただ、当時はガラケー全盛期であり、インターネットはすでに浸透していたが、スマートフォンはまだまだ。海外サッカーの情報もいまほどあふれ返っていない。当時の状況を考えれば、海外取材のスタイルとしては普通のことだったのだろう。あらためて、メディアを取り巻く環境が大きく変化していることを実感せずにはいられない。「ワールドサッカーグラフィック」も08年に休刊。一時代の役割を果たし終え、必然の休刊だったのだと、いまではそう思うようにしている。
やや駄話が過ぎたか。昔話はこの辺にしておこう。
ツアーなのに空港に迎えが来ない…
夕食はミュンヘンで有名な「Augustiner Braustuben」へ。オクトーバーフェストということもあり多くの客で賑わっていた 【スポーツナビ】
今回のメディアツアーは現地集合。日本からは数名の記者が同じ飛行機に乗って向かい、入国手続きを済ませたところで、迎えが来てくれている、はずだった。ところが、それらしき人は見当たらない。出口で迎えのボードを掲げている人の中に、目印の「Bundesliga」「Media Visit」という言葉がない。
1時間以上待っただろうか。あらかじめ配布されたスケジュール表には19時から夕食とあったが、もうその時間になろうとしている。自力でホテルに向かうのもやむなしか、と話していたそのとき、ちょうど電話が鳴った。ブンデスリーガの担当者だ。彼女も空港にガイドがいないことは予期せぬ事態だったようで、驚いている。細かなタイムスケジュールが事前に配られ、手配はバッチリ。さすがブンデスリーガ、予定はきっちり進むものと思っていたが、こういうこともあるのか。とはいえ、どうにも立ち行かなくなったわけではないし、むしろそれくらいの緩さがあった方が、海外らしくていいのかもしれない。その後、タクシーでホテルに到着し、一行と無事に合流できたことは、言うまでもないだろうか。
最後に、明日から始まるメディアツアーの概要を確認しておきたい。実質、初日となる4日(現地時間)はバイエルン・ミュンヘンの本拠地アリアンツ・アレナで1日を過ごす。ブンデスリーガのプレゼンテーションに始まり、スタジアム・博物館ツアーと続く。翌5日はバイエルンユースのアカデミーを見学した後、バイエルン対ホッフェンハイムを取材する予定だ。そして6日は陸路でフランクフルトへ。フランクフルト対ブレーメンの取材となっている。
ブンデスリーガの魅力を伝えるべく、明日から現地の模様をリポートしていく。
(取材・文:今成裕/スポーツナビ)
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