連載:経験者たちが語る、U-18野球W杯の激闘

松井裕樹が鮮明に覚える初めての国際大会 今でも生きている、海外遠征で得た教訓

瀬川ふみ子
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侍トップチームでも活躍する松井裕樹は、高校時代からU18のエースだった 【写真は共同】

 2012年夏、甲子園史上最多の10連続三振を含む1試合22奪三振を記録し、鮮烈すぎるデビューを果たした桐光学園の2年生エース・松井裕樹。3年夏は神奈川大会準々決勝で敗れ、2度目の甲子園出場はならなかったが、高校日本代表に選出された。森友哉(大阪桐蔭−埼玉西武)、山岡泰輔(瀬戸内−東京ガス−オリックス)らとともに、台湾で行われた「IBAF 18Uワールドカップ」に挑んだ。東北楽天にドラフト1位でプロ入り後、侍ジャパンのトップチームでも活躍する松井裕樹が、初めて経験したJAPANで感じたこと、また、当時の思い出を聞いた。

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失意のなかで届いた吉報

 鮮烈な甲子園デビューから約1年。2年連続での夏の甲子園を目指していた松井だが、神奈川大会準々決勝で横浜に敗れ、高校野球は引退。悔しい思いをしていたところに、高校日本代表選出という朗報が届いた。甲子園優勝への道は断たれながらも、世界一という次なる目標ができた松井は、それから3日後には高校のグラウンドに出てきて練習を再開した。

「小学生で野球を始めて、日本代表に選ばれるのは初めてのことだったので、すごくうれしかったです。でも、甲子園に行けなかった悔しさから切り替えがまだ全然できていない状態……。『甲子園が盛り上がっているときに、自分はここで練習するのか』という思いはありました(笑)」

 甲子園大会が終わった後の8月下旬、JAPAN戦士たちが大阪に集結。そこには、前年も下級生ながら日本代表の主力だった森をはじめ、投手では、山岡、田口麗斗(広島新庄−巨人)、1学年下ながら甲子園優勝投手の高橋光成(前橋育英−埼玉西武)、安樂智大(済美−東北楽天)ら。野手では上林誠知(仙台育英−福岡ソフトバンク)、内田靖人(常総学院−東北楽天)ら豪華な面々がいた。

「初対面の人とはしゃべれない」という松井は「いやー、最初は緊張しましたよ」と笑いながら振り返る。

「常総学院とは練習試合をしていたので、内田や飯田(晴海/東洋大−日本製鉄鹿島)は知っていたし、森も対戦していたので知っていた。光成や安樂は年下なので話せたかな…(笑)」

 まだぎこちない雰囲気の初日夜、宿泊していた大阪のホテルでのこと。
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