連載:経験者たちが語る、U-18野球W杯の激闘

安田尚憲が感じた、木製バットの経験不足 「世界の底力」を知った初めての国際大会

前田恵
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17年の大会では不動の3番として、力強い打撃を見せた安田 【Getty Images】

 高校最後の夏、夢に見た甲子園出場はかなわなかった。一足早く、高校野球は引退。盛り上がる甲子園を横目に、履正社の安田尚憲は次の目標――プロ入りに向かい、木製バットを振り込んでいた。その後発表された「WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)侍ジャパンのメンバーに、安田の名前があった。「同世代の、テレビでよく観ていた選手たちとチームになり、世界と戦うことが楽しみでたまらなかった」と言う安田。意外だが彼にとって、これが初めての世界大会だった。

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力の差を痛感させられたアメリカ戦

 初めて背負う日の丸だった。「JAPAN」の文字が入ったユニフォームに身を包むと、嬉しさがこみあげてくると同時に、その重みも感じた。周りを見渡せば、強豪校のエースと主軸ばかり。

「だから、みんながどれだけお互いの気持ちを合わせられるか。それが何より大事でした。誰が引っ張るというよりは、キャプテンの清宮(幸太郎/早稲田実―北海道日本ハム)を中心に、みんながひとつになってチームを作っていく感じ。早かったですよ。大会前の合宿からいい雰囲気で、『世界一になる』というモチベーションの下、チームはすんなりひとつになりました」

 そのままスッと、オープニングラウンド初戦に入った。10-1でメキシコに快勝。「史上最強」と呼ばれたチームは投打がかみ合い、次戦の宿敵・アメリカ戦へと期待が高まった。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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