攝津正が説く、山岡泰輔“飛躍のカギ” 屋外と苦手打者克服で真のエースへ

 オリックスの山岡泰輔が、パ・リーグ投手部門の7月度月間MVPを受賞した。山岡は7月、5試合に登板して3勝1敗、防御率3.09という成績を記録。32回を投げて37個と、イニング数を上回る三振を奪っている。

 今季は安定した投球を続ける山岡について、沢村賞右腕の攝津正氏に話を聞いた。

「なんでこの数字で終わっているんだろう」

7月のパ・リーグ月間MVPを受賞したオリックス・山岡泰輔。かつての沢村賞右腕・攝津正氏はどう見ているのか 【写真は共同】

「山岡はファームでも投げていましたし、何度か見た記憶がありますが、『なんでこの数字で終わっているんだろう』という投手なんですよ。もっと勝ってもおかしくないような真っすぐのキレがあって、スライダーもチェンジアップもいいですからね」

 投球割合の約35%を占め、被打率も1割5分3厘と優秀なスライダーは、山岡の投球の軸となるボールだ。2018年は2割1分3厘だったことを考えると、その威力はさらに増していると言えそうだ。チェンジアップも同1割8分2厘と優秀な数字を残しており、割合としてはこの2球種だけで43%と、全投球の半分近くに達している。

【データ提供:データスタジアム株式会社】

「ストレートとスライダーの精度と、スライダーとチェンジアップの使い方ですかね。(山岡は)やはり真っすぐとスライダーのピッチャーですから」と攝津氏は話してくれた。被打率2割5分3厘の直球を含めたベースとなる3球種が、さらなる飛躍を果たすためのカギとなってきそうだ。

初球ストライク率の向上で見えたもの

【データ提供:データスタジアム株式会社】

 山岡に関する興味深いデータも紹介したい。今季の投球内容が向上したことを表す数字の一つとして、「初球ストライク率の向上」が挙げられた(データスタジアム社調べ)。

 今季の初球ストライク率は、昨季より6.7%向上している。それによって、従来よりもカウント有利の局面を作りやすくなり、奪三振率の上昇(2017年は8.02、18年は7.46に対し、19年は8.34)にもつながっていると推測できる。なお、月間MVPを受賞した7月も、奪三振率10.41という先発投手としては抜群の数字を誇った。また、初球ストライク率の向上は、「与四球率の改善」にも直結していると考えられる。実際、17年が3.25、18年が3.02という数字だったのに対し、今季は2.49と、目に見えた変化が生じている。

 攝津氏による「球の質」、データから見えてきた「攻め方の変化」。これが山岡が安定感を増す一助となっていると言えそうだ。


7月16日東北楽天戦の5回表、スライダーで空振り三振を奪う。この試合では、味方打線の1点のリードをきっちりと守り抜く好投を見せた。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント