シュミット・ダニエルがSTVV入りした狙い
「1、2年で次へステップアップする」
シュミット・ダニエルが思い描く理想像や将来像について、移籍したばかりのベルギーの地で聞いた
シュミット・ダニエルが思い描く理想像や将来像について、移籍したばかりのベルギーの地で聞いた【飯尾篤史】

 念願の欧州移籍を実現し、シント=トロイデンVV(以下STVV)の一員となったシュミット・ダニエル。さっそく練習試合に出場し、アピールに務めている。一方、日本代表では6月の親善試合で2試合ともゴールを守り、確固たる地位を築いている最中だ。後編の今回は、日本代表や大先輩の川島永嗣、そして思い描く理想像や将来像について、ベルギーで話を聞いた。

「シュートストップを磨いていきたい」

――先日のロンメルSK(ベルギー2部)との練習試合では、さっそくフル出場を飾りましたが、1‐2で敗れてしまいました。1失点目はファンブルから。ほかにも得意のフィードで、らしくないキックミスがありました。ホームスタジアムの「スタイエン」は人工芝だから、その影響もあったのですか?


 1失点目は単純なミスですね。キックミス(の要因)は人工芝じゃなくて、ボールです。こっちのボールはすごく軽くて、スポーンって飛んで行ってしまうんですよ。でも、それも慣れれば、大丈夫だと思います。


――いきなり出場機会をもらって、アピールしておきたいところだったと思います。


 しょうがないです。まだ合流したばかりですし。それに、マイナスからのスタートのほうがアピールになるし、伸び感も出るので(笑)。その辺りの切り替えは、この1、2年で身に付きました。それに、これまでも順調にいくタイプじゃないんですよ。これまでの人生を振り返っても、何かしら遠回りしてきたので慣れています(笑)。


――やはりSTVVでも、高さと足もとのうまさを武器に?


 いや、こっちではたぶんこれくらいの足もと(の技術)は普通なんですよ。ここの第1GK(ケニー・ステッペ)も足もとがすごくうまくて、勉強になります。だから、シュートストップを磨いていきたい。どんなに足もとがうまくても、失点していたら、海外では評価されないので。


 今、僕が理想としているのも、ミーハーな感じになっちゃうんですけど、アリソン・ベッカー(リバプール/ブラジル代表)。足もともうまいですけれど、判断力がすごくいいし、ハイボールにも出られるし、簡単そうにシュートを止める。そういうGKになりたいと思っています。

「目先の代表ではなく長い目で見てチャレンジ」

――日本代表についても聞かせてください。6月のキリンチャレンジカップではトリニダード・トバゴ戦、エルサルバドル戦と2試合とも先発出場しました。9月のワールドカップ(W杯)アジア2次予選を前に、これはかなり自信になったのでは?


 うーん、試合に出られたのはうれしいですけれど、それで2次予選も出られるとは思っていないです。監督から評価されているとか、そういうことまでは意識していないというか……。そのときに調子の良い選手が試合に出ると思うし、クラブで試合に出ないことには、代表にも呼んでもらえないと思うので。


 だから、まずはここで頑張らないと。代表はそのあとから付いてくるものだと思うから、正直今は代表のこととか、W杯予選のことは考えられないですね。


――でも、理想を言えば、9月から始まる2次予選、来年の最終予選でゴールを守り、W杯カタール大会へとつなげたい。


 それはもちろん。自分が予選にすべて出て、W杯の出場権獲得に貢献して本大会に出る、という流れが理想的ですよね。


――W杯アジア2次予選での正GKを狙うなら、ベガルタ仙台にいたほうが試合出場は望めます。STVVに移籍をしたことで、しばらく第2GKとして厳しい状況を迎え、代表が遠ざかってしまうかもしれない。それも覚悟のうえですか?


 そうですね。もちろん、Jリーグでも成長できると思います。でも、海外のリーグでもまれれば、絶対にもっとレベルアップできる。それに、強豪チームと対戦することで世界と戦うイメージもできるようになると思うし。目先の代表ではなく、もっと長い目で見て、海外でチャレンジしたいなと。


――6月シリーズでは森保一監督から、スタメンを告げられる以外に、こういうプレーをしてほしいといった要求はあったんですか?


 こういうプレーをしてほしいという話は特になかったですけれど、常々言われているのは、「早いテンポで、タッチ数少なくボールを動かしてほしい」ということ。だから、そこは意識しました。それと、個人的に代表で意識しているのは、存在感を出すこと。それは、もっと出していかないといけないな、と思っています。あとは移籍に関して「いろいろ聞いているけれど、どうするの?」みたいなことは聞かれましたね(笑)。


――存在感を出すということを、もう少し具体的に言うと?


 しっかりコーチングして、ディフェンスを自分がもっとコントロールしたり、統率したいんです。それには信頼感が必要なので、DFからもっと信頼を得られるようにならないといけない、と思っています。

飯尾篤史
飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

スポナビDo

イベント・大会一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント