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小笠原道大が語る二軍のあるべき姿
竜が暗黒時代脱却を図るために

 プロ野球の二軍監督がその手腕を評価される指標は実に曖昧である。チームの成績がいいに越したことはないが、それがすべてとは言い難い。やはり最終的な判断基準は一軍の強さであり、いかに貢献したかに尽きるだろう。特に6年連続Bクラスと低迷が続く中日は二軍から一人でも多くの戦力供給が求められる。


 一方で、チームは2年前のドラフトから有望な高校生を積極的に獲得。数年先を見越して育成に力を入れる方針の中で、小笠原道大二軍監督はいかなるプランで難題の解決を図ろうとしているのか――。


 今季から与田新体制に変わったことで厳しい立場となったベテランや、枠の制限で二軍生活を余儀なくされた外国人のケア、そして“球界の宝"として期待を一身に受ける根尾昂の近況を聞いた。

中堅を殺さないために「最低限のチャンスを与えて競争」

二軍においての選手起用の難しさを語る小笠原二軍監督
二軍においての選手起用の難しさを語る小笠原二軍監督【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――小笠原監督は二軍を指揮する“難しさ”として若手からベテラン、育成のあらゆる選手に出場機会を与える点を挙げられています。試合で起用する選手の判断基準はありますか?


 選手起用についてはこちらの独断ではありますが、「基本的には若い子を使っていく」ということは選手たちにもアナウンスしてきました。高卒の選手を中心に試合に出して育成していくというチームの方針です。


 ただ、一軍があってこその二軍なので、ケガ人が出た時や入れ替えたいという要望がきた時に、求められた選手の状態を上げておかなければいけない。そういった優先順位があったとしても、中堅と呼ばれる30歳前後の選手たちだって一生懸命頑張っていますから。試合に出られなければ「何のためにやっているんだろう」とモチベーションを落としてしまうので、最低限のチャンスは与えます。確かに若手の育成とベテランの調整を優先にする間で、中堅どころの選手を使っていく難しさはあります。


――“難しさ”という点では外国人枠の問題で二軍にいるアルモンテとモヤの精神的ケアにも気を遣うのではないでしょうか?


 彼らに関しては通訳がついていますし、各担当コーチもしっかり見ています。ただ、私としても「ちゃんと見ているからしっかり準備はしておきなさい。必ずチャンスはあるから」ということは要所要所で伝えるようにしています。


 ましてやモヤは昨年から一軍に上がれない中でも二軍で一生懸命やっていましたから。愚痴もこぼさず手を抜く選手ではないですしね。いつか日の目を見るときを見据えてやってほしいなと思っています。(※本取材はオリックスとの金銭トレードでモヤの移籍が発表される前日に敢行)


――今季は特に二軍から昇格した選手がすぐに一軍で結果を出している光景が見られます。最近では昇格即スタメンとなった試合で3ランを放つなど2安打3打点の活躍を見せた藤井淳志選手が小笠原監督のサポートを感謝するコメントを残していました。藤井選手にはどんなサポートをしたのですか?


 なーんにもしないのが、いいんじゃないですか(笑)。藤井は30台後半の選手で一軍でプレーをしてきた経験があります。使えばそれなりの結果を出す選手ですから。いかにコンディションとモチベーションを落とさないようにすることが大事だったわけで。無理矢理でも二軍の試合に使っていましたね(笑)。

根尾は「急かすつもりも焦らせるつもりもない」

黄金ルーキーの根尾については「今はしっかりとした土台を作っている段階」と断言
黄金ルーキーの根尾については「今はしっかりとした土台を作っている段階」と断言【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――フレッシュオールスターには、ドラゴンズから根尾、石橋康太、梅津晃大、山本拓実の4人が選出されました。彼らに期待することは?


 思い切ったプレーをしてくれることと……ケガだけしないこと! そこでケガをしてしまったら前半戦の試合に出ていたことも台無しになってしまいます。来年以降のステップにおいても非常に大きな打撃となってしまうので。オールスターというお祭りであっても最低限の準備はして試合に臨んでもらいたいなと。


 なかなかあのような場所でひとり黙々と体操をして準備をするというのは難しいんですよね。普段話せない他チームの選手と喋ってしまうのは仕方がない部分もあるので。ただ、それはベンチや裏でコミュニケーションを愉しむぶんには全然いい。ユニフォームを着てグラウンドに出た時はしっかりとメリハリをつける。先々のことを考えたら自分が困るわけですから。やるべきことを怠らず自分のパフォーマンスを球場やテレビで見ている人にアピールをして顔と名前を覚えてもらえるプレーをして次のステップアップにしてほしいですし、そういう場にしてもらいたいなと思っています。


――やはりフレッシュオールスターは成長のきっかけとなる舞台?


 うーん……私は出ていないのでなんとも言えませんが(笑)。マスコミの方々が“登竜門”と言われるように数々の名を残してきた選手たちが結果を出してきた舞台なので、ひとつのきっかけにしてもらえたらなと思います。

(※編注:11日に行われたフレッシュオールスター、ウエスタンの先発・梅津が2回無失点の好投で、優秀選手賞を獲得。根尾は4打数ノーヒットに終わったが、石橋はダメ押しタイムリーと好リード、山本は1回を無失点に抑える活躍を見せた)


――ドラフト1位ルーキーの根尾選手について、小笠原監督は「まだまだ」という評価をメディアで話されていますが、6月中旬から「3番」で起用しています。その意図は?


 すでに3月の頃に「すべての打順を試してみる」ということはマスコミの方々にも話していました。このタイミングになった理由はクリーンアップを打つ選手ばかりがファームにいたこともありましたし、根尾自身がまだそのレベルではなかったので。


――現時点はクリーンアップを打たせるレベルまで上がったということ?


 まだまだなんですけど、リハビリから復帰して試合に出始めた頃の大きなズレに比べたら、多少変わってきた兆しが出てきた。またちょうどいいタイミングで3番のポジションも空いたので当てはめてみようかなと。


――根尾選手は3番に座ってからも3試合連続安打を記録するなど、生き生きとしたプレーが見られます。打順変更による効果はあるのでしょうか?


 本人のモチベーションが違うのでしょう。3番と下位打線ではね。少なからず染み付いたものであったり、何か自分の中に思う部分があるのだと思います。


 ただ、それで内容が変わってはいけないわけで。まだまだそんなぬるいことではいけない。どんなポジションでもやらなくてはいけないし、そういった中でしっかりとした3番にならないといけない。どんな状況でも結果を出していって一軍でプレーができるような立場にならないと。まだそこまでのレベルではないですし、底辺の底辺ですから。


 こっちは急かすつもりも焦らせるつもりもないので、今すぐに一軍だなんて思っていません。今はしっかりとした土台を作っている段階なので、それを強固なものにしていきたいなと思っています。

ベースボール・タイムズ
ベースボール・タイムズ

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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