与田竜を支える後方支援のスペシャリスト
小笠原道大二軍監督の戦力供給術に迫る

 いまや高橋周平はセ・リーグの首位打者を争っている。リードオフマン・平田良介は誰もが真のレギュラーと認める存在となり、入団時から和製大砲と期待された福田永将は昨季まで3年連続2ケタ本塁打を記録。今季も阿部寿樹や井領雅貴、高卒2年目の伊藤康祐が一軍で存在感を発揮している。


 彼らの成長を促したのは他でもない。中日の二軍監督として4年目の指揮を執る小笠原道大である。時にユニフォームを汚すことも厭わず、グラウンドに横たわって打撃指導をする情熱をもって選手に接し、見事なまでの後方支援で一軍に戦力を送り込む。


 小笠原流の“戦力供給術"とはいかなるものか――。名古屋独特の蒸し暑さが漂う二軍の本拠地・ナゴヤ球場に足を運んだ。

揺るぎない指導理念。「教え方が一辺倒ではダメ」

二軍監督として4年目のシーズン。数々の戦力を一軍へ供給した小笠原道大に迫る
二軍監督として4年目のシーズン。数々の戦力を一軍へ供給した小笠原道大に迫る【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――2015年のオフに現役引退と同時に二軍監督に就任されましたが、現役と指導者で一番に感じた違いはどんなことでしたか?


 何事も自分が中心ではなくなりましたよね。


 一番の違いは毎朝起きたときに「今日は大丈夫かな」と自分の体の心配をする必要がなくなったこと。二軍監督の仕事は多少体が言うことを聞かなくても何とかなるので、自分の体に過敏に神経を使わなくてよくなりましたね。


――野球において、意識の変化などはありましたか?


 選手時代はまず自分のことが最優先でしたが、二軍監督はチーム全体を把握する立場。何よりも選手やチームを第一に考えるようになったのは自然のことでした。


 選手も一人ひとりの性格やプレースタイルが違うので、教え方が一辺倒ではダメなんです。目指す方向性は同じであってもアプローチの仕方を変えなければいけなかったり、逆に同じように言わなければいけなかったり。まだまだ私自身も全てを知り尽くしているわけではないので、日々勉強です。


――二軍監督という仕事において、イメージとのギャップで戸惑ったことは?


 20年以上前から見てきていたのでやるべきことは分かってはいますが、「これだ」という答えは無いんですよね。それは各チームによっても違うでしょうし、同じチームでも一軍の監督が変わることで求められることもおのずと変わります。


 ただ、昔から変わらないことといえば、育成に力を入れると同時に一軍に送り出す準備選手の調整がおろそかになってはいけない。不調で二軍に落ちてきた選手であれば一日でも早く状態を上げて、一軍から声がかかった時にすぐに送り出せるようにしておくのが理想。二軍監督に求められる根本的な役割は同じでも、球団の方針によって重点的に力を入れる部分というのは変わってきます。


――就任4年目を迎えた中で監督としての“引き出し"が増えたと感じる部分は?


 いやぁ、増えたという実感は無いんですけど、3年間やってきたという経験が引き出しではありますよね。


 ただ、これだという絶対的なものはやっぱりないんです。チームは常に動いていますし選手と接して進めていることなので、一日一日で取り組むことも変わっていきます。もちろん継続することもありますが、状況によっては同じことを伝えるにしてもニュアンスを変えてみたり、逆にまったく話さない場合も。


「こうするのがいいんじゃないのかな」と試行錯誤の中でやっている感じです。

選手に諭した、一軍で活躍する必須条件

今春のキャンプ、二軍スタートとなった平田に指導する小笠原二軍監督(写真右)
今春のキャンプ、二軍スタートとなった平田に指導する小笠原二軍監督(写真右)【写真は共同】

――二軍監督として“喜び"を感じる場面は?


 やっぱり選手の成長ですよ。ファームで必死にやってきた選手が一軍に上がって結果を出したときは、心からうれしいですから。


――小笠原二軍監督の就任以降、ドラゴンズの野手陣は主力クラスへと成長した選手が大勢います。育成を成功させる秘訣はどんなことですか?


 私が一人でやっていたわけではないですから。各担当コーチと役割分担を決めて周りのみんなで進めていった中で、選手たちが教わったことを少しずつ身につけてくれた。また身につけたことを試合で結果を出すことで自信となり“今"があります。いきなり変わったわけではないんですよね。


 一軍に上がってはその都度壁に当たり、また二軍に戻ってきては鍛練を積む。その繰り返しで成長していったんです。たまたま結果が出たタイミングが重なったというだけであって、最後は彼ら自身の気持ちと実力以外の何ものでもないですから。私から特に細かいことを言ったことはありません。


――「これだけは」と一軍を目指す選手に伝えてきたことはありますか?


 強いて言えば体を強くしなさいということ。もう少しで一軍に上がれるというタイミングで状態を落として叶わなかった選手も少なくありません。特にこれまでの井領はその典型でした。チャンスが巡ってくるところでケガをして逃してしまう。でも今年はケガをすることなく状態を維持できたので、一軍の試合に出ていられるのは必然だと思っています。

ベースボール・タイムズ
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