連載:高校野球地方大会・全49地区展望

広島の本命はノーシード・広陵 地方大会の有力校を分析、中国・四国編

松倉雄太

今春センバツで150キロを計測した河野を擁する広陵は打線も強力 【写真は共同】

 高校野球ライターの松倉雄太さんに全地区の戦力を分析してもらい、今夏の有力校を占っていく連載は第4回。中国・四国地区は12日の広島を皮切りに、各地で開幕する。今秋のドラフト会議で上位候補に挙がる注目選手が多く在籍するなど注目だ。

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岡山

◎創志学園
◯関西
△倉敷商

 序盤から好カードが多く、混戦模様。連覇を狙う創志学園は高校日本代表候補研修合宿に参加した153キロ右腕・西純矢(3年)と春にエース格として登板した146キロ右腕・草加勝(3年)の二枚看板。捕手で主将の横関隼(3年)が冷静なリードで引っ張る。課題は打線で、好投手・万代凌也(3年)を擁する岡山南との初戦でどこまでの得点力を見せられるか。好勝負が期待される。

 中国王者・関西は、春の公式戦全てで二桁安打を放った打撃が自慢。秋のエースだった栗原大樹(3年)がどこまで復調してくるか。7年ぶりの出場を狙う倉敷商は、左腕の木村蒼(3年)を中心に投手層が厚い。

 開幕ゲームのおかやま山陽vs.岡山学芸館は1回戦屈指の好カード。秋の中国ベスト8の岡山理大付、春の県大会で創志学園を破った倉敷工、強豪の玉野光南なども優勝候補に名が挙がる。

広島

◎広陵
◯崇徳
△呉

 高校日本代表候補研修合宿に参加した150キロ右腕・河野佳(3年)を擁する広陵が大本命。左の石原勇輝、森勝哉(いずれも3年)も安定感があり、打線も強力だ。春の県大会で2回戦敗退に終わりノーシードとなったため、今夏はマツダスタジアムでの開幕戦に登場する。夏2回出場の西条農との好カードが決まった。マツダの開幕戦からマツダの決勝まで勝ち進む。

 昨秋中国ベスト8の崇徳は、現チームから早稲田大学を率いた應武篤良監督が就任。主将の池上歩(3年)は巧打が光る。

 春のセンバツ出場の呉はエース・沼田仁(3年)の巧みな投球術で夏初出場へ導けるか。15年ぶりに春を制した広島商は堅守と計算できる失点が強み。元南海投手の大久保学氏が監督に就任した新生・如水館、春の中国大会に出場した広、ノーシードの広島新庄なども上位候補。最速152キロのプロ注目右腕・谷岡楓太(3年)を擁する武田の戦いぶりにも注目だ。

鳥取

◎米子東
◯鳥取城北
△鳥取商

 参加23チームは全国最少。今夏から準決勝後にも休養日を設定した。

 センバツ出場の米子東が春の県大会も制覇。主将・福島康太(3年)は抽選会で念願の選手宣誓も引き当て、勢いに乗って夏も頂点を狙う。エース左腕・森下祐樹(3年)の玄人好みの投球術にも注目。

 連覇を狙う鳥取城北は、甲子園を経験した山田椋一(3年)が攻撃の中心。2年生左腕・阪上陸、秋の米子東戦1失点完投の3年生右腕・別所季哉と投手陣も充実している。

 鳥取商は秋春3位。清水響希と松本和宏(いずれも3年)の二枚看板は、秋の中国大会の広陵戦で2失点と好投。2強を打ち破れるか。秋春4位の倉吉東も侮れない。

島根

◎大社
◯開星
△矢上

 春4強は全て公立。その中でも秋春連覇した大社の戦力が充実している。エース・紙田貫(3年)は140キロ近い直球が武器。コントロールも良く、四死球が少ない好投手。春は左の茶山優(3年)が成長し、投手層は暑くなった。1992年以来27年ぶりの夏出場なるか。

 秋3位の開星はノーシードながら田部隼人(3年)を中心に打線が強力。大社と同じブロックに入り、お互いが勝ち上がれば準々決勝で激突する。

 矢上は秋春ベスト4。大社に次いで安定した成績を残した。木村維心(3年)を中心にした強力打線で初出場を狙う。昨夏優勝の益田東との初戦が大一番になりそうだ。

山口

◎高川学園
◯早鞆
△下関国際


 高川学園が秋春連覇で一歩リードする。主将で捕手の久保田碧月(3年)を中心に春の中国大会で見せた打撃力は全国クラス。エース・田尻崚祐(2年)は中国大会で1イニングの登板にとどまった。他の投手陣が充実しているものの、夏を勝ち抜くにはエースの復調がポイントになる。

 早鞆は春の山口大会準優勝。高川学園とは1点差の接戦を演じた。エース格の櫛田杜倭(3年)など複数の投手に力があり、10年目となる大越基監督が継投を軸に組み立てる。

 昨夏の代表校の下関国際は、甲子園を経験した左腕・木村大輝(3年)が投打の大黒柱。秋準優勝の聖光は左腕・中本至音(3年)のピッチングに注目だ。

 萩商工、宇部商、桜ケ丘なども力がある。準決勝後にも休養日ができたことが、終盤の戦いにどんな効果をもたらすか。

<次ページから四国編>

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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