心の強さで全日本を制したサニブラウン スタートを克服し、世界の表彰台を目指す
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“雨男”ぶりは健在も、大会記録を塗り替える
レース後、桐生(左)と健闘を称え合うサニブラウン 【写真:松尾/アフロスポーツ】
2年前は雨中のレースで初優勝を果たした。この日も18時過ぎまで大雨が降っており“雨男”ぶりは健在だった。今季3度目の9秒台はならなかったものの、大会記録を塗り替える好走で日本記録保持者の強さを示した。「(9秒台まで)あと0秒03ですか。もっとスタートがしっかりできていればよかったですね」と記録には不満を見せたものの、王座奪還に「米国で速い選手と走ってきたので、強い姿を見せられないと意味がない。集中して走れたのは良かったと思います」と胸を張った。
20歳の心を強くした米国での経験
「桐生さんのことは全然気にしないようにしていた。自分との戦いだけに集中していた」
9秒97の日本記録を打ち立てた7日の全米大学選手権は、100メートルに加えて200メートル、100×4リレーをわずか1時間半の間にこなす超過密スケジュールだった。過酷な状況に身を置くことで「ハードすぎて、集中せざるをえなくなってしまう」と、自然と本番に気持ちのピークを合わせる調整が染み付いた。それによって、今では「レースで緊張することはほとんどなくなっちゃいました。常に自分がどんな走りをするかワクワクしている」と、ベストな精神状態でレースに挑むことができている。
真のトップクラスになるために
サニブラウン自身も自覚している「課題」を克服し、さらなる記録更新なるか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
もう1つテーマに挙げたのは「再現性」の向上。決勝でも「腕の振りが前に流れてしまったり、あごが上がったりしてしまった」と、自分にとってのベストなフォームで走り切ることはできなかったという。
「技術は備わってきていると思うので、それを常に試合で出せるようにしないといけない。世界のトップレベルの選手は、それができる強さがあります。(内定が決まった)世界陸上では決勝に入って、メダルが狙えるところまで練習していきたい」
さらなる日本記録更新、そして世界の表彰台に立つことへの期待はふくらむ一方だが、その前に29日から200メートルのレースも控えている。サニブラウンは「200メートルも気を抜かず、集中していきたい」と静かに闘志を燃やした。2年ぶりの2冠、さらに2003年に末續慎吾が打ち立てた日本記録(20秒03)の更新。自身に満点をつけるような走りができた時、2つの金字塔が見えてくる。
(取材・文:守田力/スポーツナビ)
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