英国王室GIに挑戦するディアドラの勝算 現地6番手評価も実力発揮の条件そろった
1番人気争いはシーオブクラスとマジカル
プリンスオブウェールズステークスの現地1番人気を争う1頭のシーオブクラス(手前、黄帽)、昨年の凱旋門賞ではエネイブルの短クビ2着と善戦 【Photo by Press Association】
現地ブックメーカーで前売り1番人気を争っているのは、シーオブクラスとマジカルの4歳牝馬たち。前者はG1レース2勝に凱旋門賞でエネイブルと短クビ差の2着があり、実績から最右翼の評価もうなずける。ただ、今回は凱旋門賞から8か月半ぶりの復帰戦と間隔が開いているうえ、ひと叩きするはずだった前哨戦を熱発で回避した事情がある。また、もともと今季の大目標を3か月半先の凱旋門賞に置いているため、ここから全開の仕上げは難しいはず。アスコットも未経験で今回ばかりは地力頼みか。
マジカルのG1実績もシーオブクラスに劣らないが、凱旋門賞では2着のシーオブクラスに5馬身ほど離された。次戦でG1初制覇を飾り、さらに中1週で臨んだブリーダーズカップターフではエネイブルの3/4馬身差2着に巻き返したものの、その2戦は道悪が向いた面もあり、エネイブルとの着差比較でもシーオブクラスになお届かない。今季は10ハロン前後の重賞を3連勝しているとはいえ、全て自厩舎のステイヤーが2着。中距離の本格派に通用するか、それが明らかになるのは今回だ。
ヴァルトガイストとクリスタルオーシャンの牡馬2頭が3番人気を争う関係にあるが、ここに至る経緯では前記の牝馬2頭に決して負けていない。ヴァルトガイストは凱旋門賞でシーオブクラスに1馬身半差の4着も、当時の斤量4.5kg差から今回は1.5kg差で戦える。1kgで1馬身とされる机上の計算では優に逆転できる関係だ。しかも、今季初戦のガネー賞を圧勝しての参戦。フランスに9年ぶりのタイトルを持ち帰ることも十分に可能だろう。
また、クリスタルオーシャンはG1未勝利ながら2着が3回あり、そのうち2回は1/2馬身以内の僅差。アスコット競馬場でも重賞4戦で1勝、2着2回、3着1回と経験豊富なうえ、昨年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスではクビ差の2着と他馬にはない充実した戦績を誇っている。昨年のロイヤルアスコット開催ではハードウィックステークスを快勝したが、今年も全く同じローテーションで連勝中と万全の態勢にある。
これらに続く5番手がザビールプリンス。今季初戦のG3で重賞初制覇、2戦目の前走はG1イスパーン賞で連勝と、6歳にして素質を開花させてきた。ただ、イスパーン賞で3/4馬身差の2着馬は、ガネー賞でヴァルトガイストに4馬身余り離された。それに加え、当時の1850mがキャリア最長距離。タフなアスコットの1990mではまだ胸を借りる立場か。
ディアドラは侮られている印象
日本から参戦するディアドラは1カ月半にわたり現地で調整するなど体勢は万全だ 【Photo by Getty Images】
ドバイに向けて日本を発ったのが3月20日。今回のレース当日でちょうど3か月と異例の遠征に出ているが、英国の調整地であるニューマーケットに到着したのは日本時間の5月2日早朝で、1か月半の十分な時間を過ごしている。ディアドラには秋華賞での道悪実績があり、天候が変わりやすい現地に不安はなく、父ハービンジャーもアスコット競馬場を大の得意としていた。実力を発揮できる条件はそろっており、現地の評価を覆す激走に期待したい。
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