今永昇太、「戻れる場所」を見つけた昨秋 理想のフォームを模索し続けた1年間
3年目の昨季、「フォームのずれ」から不振に陥った今永。本来のフォームを探し続ける1年になった 【写真は共同】
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不振の原因は「フォームのずれ」
「肩を痛めた後から、リリースの位置がどうも違うような感覚がずっと続いていたんです。頑張って腕を振っても、なぜかボールが走らない。そこで、自分のフォームを映像で確認しました。すると、それまではテークバックのとき、体のラインから左手があまり(背中側に)はみ出さなかったのに、去年は自分でも驚くくらい、はみ出ていたんです。はじめはそれでもリリースまで間に合っていたんですが、どんどん間に合わなくなっていった。リリースの位置が自分の体より後ろにあるような感覚で、バッターからだんだん遠くなってしまったんですね」
いわゆる「フォームのずれ」である。その大元の原因が本当に肩だったのかどうか、はっきりはしない。ただ、肩の痛みを気にしながら投げていくうち、フォームが少しずつずれていった可能性は否めない。
「フォームのリズムが悪ければ、投球のリズムも悪い。僕のフォームの中にはリズムがあるんですが、それもなんだかぎこちないものになっていきました。投げる前に迷いが出て、バッターに対する投球も2、3秒遅れる。それで間延びした試合も多かったんじゃないかと思います」
その“迷い”を周囲も見て取ったのか。今永の不調はメンタルが原因なんじゃないか、という指摘もあった。「もっとこういう気持ちで投げろ」と多くの人にアドバイスされた。だが、メンタルは結局投げたあとの結果で「なんで弱気になったんだろう」「『強気でいったから良かった』としか言えないものなんじゃないか」と今永は思った。それならフォームから技術面をすべて見直し、あらかじめ「ここをこうすれば、こうなる」という修正能力を高めていったほうがいいのではないか。今永は、ピッチングの技術を追求する道を選んだ。
「というのも自分の頭の中に、以前から“これ(フォームのズレ)が原因で球がいっていないんじゃないか”という考えがあったんです。そこで、ファームに行ったとき時間をかけて取り組んだのですが、なかなか本来のフォームが取り戻せなかった。終盤また1軍に戻って中継ぎで投げても、悪い流れはずっと続いていて……。結局シーズン中は取り戻せず、1年間探してしまいました」