記憶に残る“個性派フォーム”の選手たち 日米で活躍した2人が投打の1位に

ベースボール・タイムズ

打者は「振り子打法」が1位に

イチローの代名詞「振り子打法」。94年には日本球界初の年間200安打を放った 【写真は共同】

 投球フォーム以上にバラエティ豊かな打撃フォームだが、その中で最も多くの票数を集めたのは、4419票(26.56%)、イチロー(元オリックスほか)の「振り子打法」だった。右足を振り子のように動かし、踏み込んだ後に体重移動してボールを打ち返すという独特の打法。当初は「軸がブレる」との批判もあったが、天才的なバットコントロール、ハンドリングの柔らかさ、スイングスピード、感性を駆使してスタイルを作り上げ、伝説的な活躍を続けながら日米通算4367安打をマークした。

 その「振り子打法」に次ぐ3121票(18.76%)を集めたのは、種田仁(元横浜ほか)の「がに股打法」だ。両足を大きく開き、つま先立ちで、文字通りがに股となってバットを構える特異な打撃フォーム。左肩が内側に入る癖を矯正するために開発し、その打法で打率3割をマークした。決して見栄えはよくなかったが、イチローの「振り子」に匹敵するほど多くのファンが真似をした。

個性的なフォームがランクイン

 その他、バットを刀のように上段に構えた小笠原道大(元日本ハムほか)が2891票(17.38%)、体をリラックスした状態でバットをゆったりと揺らし、そこから瞬間的に力を出す「神主打法」の落合博満(元ロッテほか)が2871票(17.26%)、さらに言わずと知れた「一本足打法」の王貞治(元巨人)が2589票(15.56%)を集めて上位にランクイン。以下、中村紀洋、タフィー・ローズ(ともに元近鉄ほか)、八重樫幸雄(元ヤクルト)、アレックス・カブレラ(元西武ほか)、松田宣浩(ソフトバンク)までが1000票超え。現役では松田がトップとなった。

 ローズやカブレラ、ウォーレン・クロマティ(元巨人)といった助っ人勢に加え、極端なオープンスタンスで構える「八重樫打法」、全身を柔らかく動かしながらタイミングを取る梨田昌孝(元近鉄)の「こんにゃく打法」、剣道の構えからヒントを得たという近藤和彦(元大洋ほか)の「天秤(てんびん)打法」など、どれもが個性的なものばかりだ。

 やはり、プロは人気商売。ヒット、本塁打の数だけでなく、それを生み出す打撃フォームも、自らの商売道具の一つだと言える。もちろんネーミングセンスも問われる。「令和」の時代を席巻する、新打法の開発、誕生に、ぜひとも期待したい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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