【ラグビー/NTTリーグワン】最多トライゲッターの称号はチームの成長の証明。 マロ・ツイタマが、スピード豊かに駆け抜ける<静岡ブルーレヴズ>

静岡ブルーレヴズ マロ・ツイタマ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

すでに3年連続の8位が決まっている静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)だが、ヤマハスタジアムで迎える最終節には、二つの大きな意味がある。

一つ目は、5月2日に今季限りでの現役引退を発表したレジェンド・矢富勇毅のラストゲームになること。二つ目は、現在、トライ数ランキングでトップに立つマロ・ツイタマが、ジャパンラグビー リーグワンになって自身初の最多トライゲッターになれるかどうかということである。

静岡ブルーレヴズ 矢富選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

サモア出身で28歳のマロ・ツイタマは、高校を卒業してからニュージーランドのウェリントンでプレーし、2019年にヤマハ発動機ジュビロ(当時)に加入。スピード抜群のウイングとして日本でも成長を重ね、2021年のトップリーグでは最多トライゲッターに輝き、今季からは日本代表の有資格者であるカテゴリAの選手となった。さらには、バイスキャプテンにも就任。例年以上にコンスタントにトライを重ね、最終節を前にしてここまで積み上げたトライ数は『15』。2位に2トライ差をつけている。また、トライ数だけでなく、ゲインメーターは1位、ラインブレイクは3位、ディフェンス突破は4位タイ、ボールキャリーは7位と、個人スタッツで軒並み上位に入っている。

これほどの数字を残せている理由について、本人は次のように語る。

「フィールド上で仲間のサポートがすごくあるおかげだと思います。ほかの選手たちがしっかりゲインを取ってくれて、そこから自分に良い形でボールが回ってくる。ゲインやトライにつなげられる場面を仲間が作ってくれています」

その詳細について、藤井雄一郎監督はこう解説する。

「オフロードパスを使って外で(マロ・ツイタマが)余る状況をフォワードが作れているのと、チャールズ(ピウタウ)や(シルビアン)マフーザといった内側の選手が彼の立っているスペースにしっかりとボールを運べていると思います。チームとしてそういうプランで(攻撃の形を)作っているので、ウイングやフルバックのトライが量産できるのはうれしいですし、積み上げを出せていると思います」

今季は藤井監督の下で、伝統的な強みであるセットピースだけでなく、オフロードを含む多彩なパスをつなぐ攻撃にも力を入れてきた。マロ・ツイタマの活躍は、その成果の象徴でもある。

もちろんマロ・ツイタマ自身の成長も、今季の大活躍につながっている。

「常に日々成長したいと思ってプレーしていますが、いまは特にボールを持ってないときの動きを意識しています。いまの静岡BRは、そこがうまく機能するシステムになっているので、自分自身も昨季より成長できていると感じています。ただ、もっともっとレベルを上げていけると思うので、来季はより強くなれると信じています」

今季は大黒柱のクワッガ・スミスが長期離脱した中で、順位こそ上がらなかったが、今まで以上に選手もスタッフもチームの成長を実感できている。最終節で2位の東芝ブレイブルーパス東京に自分たちのラグビーで勝てれば、さらに自信を増して来季に臨むことができる。

「やっつ(矢富勇毅の愛称)を良い形で送り出すためにも、しっかりと勝ってシーズンを締めくくりたい」と語るマロ・ツイタマ。彼のトライで勝利とタイトルをつかみ、有終の美を飾ることができれば、彼のもう一つの夢でもある日本代表入りも、かなり現実味を帯びてくることだろう。

(前島芳雄)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント