サートゥル出遅れが招いた歴史的波乱 浜中、亡き祖父との約束果たすダービーV

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伏兵ロジャーバローズが7,071頭の頂点に

令和最初のダービーは浜中騎乗の12番人気ロジャーバローズがV、まさかの大波乱となった 【写真:中原義史】

 競馬の祭典・第86回GI日本ダービーが26日、東京競馬場2400メートル芝を舞台に争われ、浜中俊騎乗の12番人気ロジャーバローズ(牡3=栗東・角居厩舎、父ディープインパクト)が優勝。2番手から力強く抜け出すと、そのまま後続を完封し、3歳馬7,071頭の頂点に立った。良馬場の勝ちタイム2分22秒6は、2015年ドゥラメンテがマークした2分23秒2を0秒6上回るダービーレコード。

 ロジャーバローズは今回の勝利でJRA通算6戦3勝、重賞は初勝利。騎乗した浜中は6回目の挑戦でうれしいダービー初勝利となり、同馬を管理する角居勝彦調教師は07年ウオッカ以来となるダービー2勝目。また、角居調教師は今年の皐月賞をサートゥルナーリアで制しており、異なる管理馬での皐月賞・ダービー制覇は史上初のこととなった。

ダービーレコードとなる2分22秒6 【写真:中原義史】

 一方、騎乗停止中のクリストフ・ルメールからダミアン・レーンに乗り替わった1番人気の皐月賞馬サートゥルナーリア(牡3=栗東・角居厩舎)はゲート出遅れが響いたか、直線伸びず4着に敗れデビュー以来初の黒星。ロジャーバローズからクビ差の2着には戸崎圭太騎乗の3番人気ダノンキングリー(牡3=美浦・萩原厩舎)、さらに2馬身半差の3着には川田将雅騎乗の2番人気ヴェロックス(牡3=栗東・中内田厩舎)が入った。

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「競馬って、最後までどうなるか分からない。それが醍醐味」

「ビックリしてわけが分からない」とレース後に語っていた浜中、このウイニングラン中も「フワフワ」していたという 【写真:中原義史】

 ジョッキー仲間から次々と祝福を受けた浜中が、検量室で顔を洗いながら「ビックリして、わけが分からない……」とポツリ、語ったときの表情が印象的だった。大げさではなくて、心ここにあらずという様子。当の本人がこれなのだから、競馬ファンの皆さんもしばらくは頭の上に「?」が浮かんでいたのではないか。

 令和元年、最初のダービーは「まさか」という単語がぴったりとはまる結末。平成最後の10年のダービーは1〜3番人気馬で8勝。“ダービーは最も運がいい馬が勝つ”という格言があるものの、1番人気は1991年〜95年まで5連勝、2001年から06年まで6連勝するくらい、人気馬が強いレースだった。2ケタ人気のダービー勝利は、1966年テイトオー以来、実に53年ぶり5勝目。平成の時代にはなかった大波乱が、令和最初のダービーで起こった。まさに“歴史的なダービー”となったわけだ。

 多くのファンは、もっと違った意味で“歴史的なダービー”になると思っていたはずだ。それはつまり、サートゥルナーリアがディープインパクト以来14年ぶりに無敗でダービーを勝ちクラシック二冠馬となる――僕もそうなると思い、1着サートゥルナーリア・2着ニシノデイジー固定の3連単流し馬券を握り締めていた。しかし……

「競馬って、最後までどうなるか分からないし、それが醍醐味であり面白いところ」

 こう語ったのはレース後の共同会見での浜中だ。もう何度痛い目にあえば目がさめるのかは分からないが、改めて胸に刻みたいダービージョッキーの至言である。

サートゥルナーリアはなぜ敗れた?

サートゥルナーリア(左・赤帽)は出遅れが響き、それがレース全体の流れにも影響を与えたか 【写真:中原義史】

 ではなぜ、サートゥルナーリアが敗れ、同じ厩舎のロジャーバローズがまんまと押し切ることができたのか。理由の1つには、やはりサートゥルナーリアの出遅れが挙げられると思う。大役を任されたレーン自身、このゲートでの出負けが最後まで響いたとレース後に明かしている。

「返し馬の感じは良かったんですが、時間がたつにつれて馬のテンションが上がってしまい、ゲートの中でガタガタしてしまった。なんとか落ち着いたかと思ったけど、ちょうど立ち上がったタイミングでゲートが開いてしまい出遅れてしまいました」

 出遅れたサートゥルナーリアを尻目に、デビュー3年目の20歳・横山武史が騎乗するリオンリオンが宣言どおりに逃げて、前半1000mを57秒8。「スローには落としたくなかった。4コーナーでいかにセーフティリードがあるかで勝機があると思った。したい競馬はできた」と、売出し中の若手らしい思い切ったこの逃げは、見ているこちらも小気味がいい。が、それにしてもペースが速いことには変わりなく、またサートゥルナーリアが出遅れた影響で後方に控えていることもあり、「他の馬がみんな動けなかったのかもしれないですね」と角居調教師。トレーナーの言葉にあるとおり、ハイペースの中、断然人気馬が後方、まして前にいるのが人気薄では他馬は動くに動けない。前団を気にして自分から早めに動けば、今度はサートゥルナーリアの差し脚のエジキになるからだ。

 ただ、一方でサートゥルナーリアも“最初から狙った位置取り”ではなかったため、苦しい競馬を強いられることになっていた。レーンが言う。

「道中の手応えは良かったんですが、前の馬との距離を考えると、早めに仕掛けざるを得ない流れ。その分、最後は伸びませんでした」

 前がハイペースで飛ばしていたものの、先行勢が残る今開催の芝コンディションを考えれば、いかにサートゥルナーリアといえども悠長に直線一気では到底届かない。そのため、早め早めに仕掛けて先行勢との差を縮めていかなければならないのだが、レースは平均的に速い流れで展開していたため、なし崩し的に脚を使うことになってしまった。時計だけ見れば、メンバー最速の上がり3F34秒1をマークしているが、ラスト1ハロンの爆発力はもう残されていなかったのだろう。

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