雑音にも負けずミルコ&マーズ千六で二冠 ルメール降着…騎乗停止でダービーアウト
「これからも一生懸命頑張るだけ。もっと勝ちたい」
「調子が良くないと言われていますけど、自分ではそんなことはないと思っています。僕自身、基本的に悪い乗り方はしていないと思っていましたし、人生はいつもいい時ばかりではないと思います。これからも一生懸命頑張るだけ。もっと勝ちたいです」
初来日から区切りの20年、すっかり日本に馴染みきっているイタリアンは「令和最初のGIを勝つことができて、すごく嬉しいですね!」と、変わらない人懐っこい笑顔を見せた。平成の時代に外国人ジョッキーの新たな形、道を切り開いたミルコの腕は、新時代に入ってますます円熟味を増していくことだろう。そして、千六で二冠を達成したアドマイヤマーズとともに、目指すは令和最初の絶対マイル王者だ。
なお、アドマイヤマーズの今後だが、友道調教師によると「オーナーとはまだ話していませんが、春はこれでお休みになると思います。現状はマイルで結果を残しているので、マイル中心に使っていくことになると思います」とのこと。
5着グランアレグリア「スタートが良くなくて」
レース後、「あまりスタートが良くなくて、ずっと引っ掛かってしまいました。3、4コーナーで息が入りましたけど、最後は疲れてしまいました」と敗因を振り返ったルメール。つまりは、最初の後手が全て、といったところか。
振り返れば、昨年12月の朝日杯FSで敗れた際も、グランアレグリア自身の形に持ち込めず能力を全開できなかった。そこを「経験不足」と陣営は捉えていたわけだが、まだまだ自分の思い通りにリラックスした走りができないと、モロさが顔をのぞかせてしまうのだろう。それでも朝日杯同様に大きく負けていないあたり、グランアレグリアの素質の高さであり、その“若さ”を克服すればひと回りもふた回りもパワーアップする成長の余地を残している。秋の逆襲に期待だ。
そして鞍上のルメールなのだが、今回の斜行に加え、3月2日にも不注意騎乗による騎乗停止処分を受けており、短期間のうちに同様の不注意騎乗を繰り返したことから、5月11日(土)から26日(日)まで16日間の騎乗停止処分となった。これにより、ヴィクトリアマイル、オークス、日本ダービーの騎乗は不可能に。ダービーでクラシック二冠制覇がかかった皐月賞馬サートゥルナーリアも乗り替わりとなり、ルメールにとっては二重、三重に痛い令和最初のGIレースとなってしまった。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)