5分で終わるBリーグCS観戦準備 「攻撃力頂上決戦」に「因縁カード」も…

大島和人
「令和最初の王者」はどのクラブか? Bリーグチャンピオンシップ(CS)2018−19が、4月26日(金)にスタートする。出場は8クラブ。東地区、中地区、西地区の各2強と、3位以下の中から勝率の高い「ワイルドカード」の2チームが参加する。今回は各チームの戦力を分析しつつ、クォーターファイナル(1回戦)の展望を探りたい。

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総得点1位2位による攻撃力の頂上決戦

千葉はPG富樫を軸に堅守速攻を仕掛ける 【(C)B.LEAGUE】

千葉ジェッツ:堅守速攻と3ポイントシュートでゲームを支配!

 千葉ジェッツは激戦エリアの東地区で、52勝8敗のB1史上最高勝率を記録した。1回戦は富山グラウジーズと対戦する。

 千葉は堅守からの速攻、3ポイントシュートを武器にする。チームが波に乗った時の爆発力は、大野篤史ヘッドコーチ(HC)が就任した2016−17シーズンから強烈だった。さらに今季は「安定感」が身に付いている。また、経営的な成功を背景として積極的な補強を進め、選手層もB1の最高レベルだ。

 エースはもちろんポイントガード(PG)の富樫勇樹。167センチの小兵だが司令塔、得点源の二役を担っている。ギャビン・エドワーズは千葉2季目のセンターで、チームのスタイルにハマっている。強烈なブロックショットとダンク、速攻の先頭に立つ走力、シューターを助けるスクリーンプレーを持つ献身的な選手だ。

 富樫や石井講祐、アキ・チェンバース、田口成浩、原修太とアウトサイドにはシュートの名手がそろう。3ポイントシュートの成功率はBリーグ最高だ。

138キロの巨漢を持つジョシュア・スミスが富山のゴール下には欠かせない 【(C)B.LEAGUE】

富山グラウジーズ:センター・スミスを起点とした攻撃力に注目

 富山はB2との入れ替え戦を際どく制した昨季から一転、ワイルドカードからCS出場を決めた。今季のワイルドカード2枠目争いは激烈で、最終節を迎えた段階でシーホース三河、京都ハンナリーズが有利な位置にいた。しかし富山は連勝で三河、京都を逆転し、最後の一枠に滑り込んだ。

 今季の富山は総得点がB1全体で千葉に次ぐ2位と攻撃力が売り。センターのジョシュア・スミスは138キロの巨漢。彼のオフェンスリバウンドはとにかく強烈で、味方のシュートミスを拾ってイージーなシュートに変えてしまう。彼のポストプレーを1対1で阻止することも当然ながら至難の技。しかもマークを引きつけてシューターを生かすうまさもある。

 パワーフォワード(PF)のレオ・ライオンズはオフになればデザイナー、モデルもこなす「二刀流アスリート」だ。長短のシュート、リバウンドと万能で、スミスといい連係も見せている。ガード陣も1月のオールスターでMVPを受賞したシューターの大塚裕土、191センチと長身で鋭いドライブも兼備する宇都直輝と多士済々だ。

「静」の新潟と「動」のA東京が激突

新潟は五十嵐が試合をコントロールしながら、「重量級」と「ベテラン」が生きる試合を展開 【(C)B.LEAGUE】

新潟アルビレックスBB:重量級とベテランが織り成すスローバスケ

 新潟アルビレックスBBは中地区を制した。1回戦は昨季のB1王者・アルバルク東京と対戦する。

 B1は今季から外国籍選手のベンチ入りが「2」に減った一方で、すべてのクォーター(Q)で2名の同時起用が許されるルールになった。新潟はその新ルールを生かしている。

 ダバンテ・ガードナーはレギュラーシーズンの得点王に輝いたセンター。203センチ・132キロの巨漢だが、鋭いステップでズレを作り、「技」でシュートに持ち込む。ガードナーとコンビを組むラモント・ハミルトンもパワフルな選手だが、こちらは3ポイントシュートという違う強みもある。2人はほとんどベンチに下がらず、展開によっては40分近くプレーする。

 新潟は試合のテンポを無理に上げず、「重量級」と「ベテラン」が生きる展開をうまく作る。五十嵐圭は試合をコントロールし、3ポイントシュートから自ら点を決めるPG。間もなく39歳を迎えるベテランだが、そのプレーと優雅な風貌に陰りは全くない。

 今季は「第4のキーマン」も加わった。柏木真介は豊富な37歳のベテランで元日本代表。彼がコンボガード(PGとシューティングガードの兼任)として五十嵐の負担を減らし、シューターとしてオープンなスペースを生かす。

日本代表の主力級を3人要するA東京。馬場はアジア最高のベストダンカーだ 【(C)B.LEAGUE】

アルバルク東京:昨季王者メンバーが臨機応変なバスケを展開

 A東京は昨季の優勝メンバーが今季もそのまま残留。日本代表の主力級を3人も擁している。

 竹内譲次は207センチのPFで、15年にわたって日本のインサイドを担ってきた34歳だ。彼は献身的でクレバーで、チームの潤滑油になる。ルカ・パヴィチェヴィッチHCとの出会いで、さらなる成長も遂げつつある。A東京は外国籍選手をベンチに残す時間帯の長いチームだが、それは竹内がいるからだ。

 馬場雄大はベンチスタートが多いものの「6番目の男」として試合の流れを変える存在。198センチの身長とアスリート性を兼備し、ダブルクラッチやノールックパスといった技も豊富。跳躍力は驚異的で、Bリーグはもちろんアジア最高のベストダンカーだろう。

 田中大貴もアスリート性、ゲームメーク、シュートと三拍子そろった選手。左足のハムストリングを痛めて最後の4試合を欠場したことは不安材料だが、大一番では戻ってくるだろう。

 A東京はセンターのアレックス・カークも含めて「動ける」選手をそろえている。ただし力強くじっくり攻める新潟は、A東京が持ち味を出し難い相手。昨季の王者が、初戦から試練を迎えることになる。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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