5分で終わるBリーグCS観戦準備 「攻撃力頂上決戦」に「因縁カード」も…
お互いを知り尽くした同地区対決
並里が意外性のあるパスで琉球の攻撃に違いをもたらす 【(C)B.LEAGUE】
西地区王者の琉球ゴールデンキングスは、西地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦する。
今季の琉球は主将の岸本隆一が「ジェットコースターのようなシーズン」と口にするほど、波が激しかった。
15勝5敗で最初の20試合を乗り切ったが、インサイドの柱だったジョシュ・スコットが12月に負傷して残り試合を欠場。その後は5連敗も喫したし、帰化選手のアイラ・ブラウン、古川孝敏などの代表経験者も負傷で不在だった時期がある。チーム作りにおける佐々宜央HCの苦労は大きかったはずだが、終盤戦で2位以下を突き放して西地区首位をつかんだ。
琉球の魅力はなんといっても岸本、並里成のダブルガード。沖縄出身の2人はそろってドライブから仕掛けられるタイプで、岸本はシュート、並里は意外性のあるパスでも魅せる。琉球は日本人選手が主役、得点源となるチームだ。
チームの得点源でもある安藤の3ポイントシュートからは目が離せない 【(C)B.LEAGUE】
名古屋はハードな守備からの速攻、高速バスケが強み。また3ポイントシュートの得意な選手が多く、「外」も武器になる。
陣容を見ると若くアスリート性の高い選手が多い編成だ。日本代表の張本天傑は197センチと大型で、守備も含めた「数字に出ない貢献」ができる。安藤周人は3ポイントシュートの名手で、チームの得点源だ。
シーズンの半ばまでは、抜群の運動能力と個の打開力を持つマーキース・カミングスを中心とするスタイルだった。しかし後半戦から211センチで守備能力の高いヒルトン・アームストロングが加わり、速さは少し損なわれたものの安定感が増した。日本通算6季目で、bjリーグ時代にはMVPにも輝いた経歴を持つジャスティン・バーレルも健在だ。
初年度ファイナルと同じ「因縁」のカード
田臥(左)やロシター(右)らBリーグ初年度からのメンバーも多い栃木 【(C)B.LEAGUE】
東地区2位の栃木ブレックスと中地区2位の川崎ブレイブサンダースの対戦も要注目だ。Bリーグ初年度(2016−17シーズン)のファイナルと同じ顔合わせがクォーターファイナルから実現する。
昨季の栃木は主力の移籍などもあり、東地区4位と苦しんだ。今季は49勝11敗と復活し、B1全体でも2位の勝ち星を挙げている。リバウンドの強さ、隙のない守備はもはやクラブの伝統。悪い流れから立て直す粘り強さもお馴染みで「ブレックスメンタリティ」という表現もある。
インサイドはライアン・ロシター、ジェフ・ギブス、竹内公輔とBリーグ初年度から不変のローテーションだ。ロシターはシュートに持ち込む形が豊富で、長いレンジからも正確に決めてくる。ギブスは188センチ・110キロの体格で、強さと重心の低さを生かしたコンタクト、長い腕を生かしたリバウンドやスティールで魅せる曲者(くせもの)だ。
アウトサイドは遠藤祐亮がタフな守備、正確な3ポイントシュートで今季の立役者となった。鵤誠司は184センチ・96キロの「格闘家体型」と金髪が印象的だが、PGも問題なくこなすスキルの持ち主だ。
加えてオーストラリアのクラブへ移籍していた日本代表・比江島慎が1月に帰国し、チームに加わった。「レジェンド」の田臥勇太も腰痛が癒え、終盤戦から復帰している。
ファジーカスは川崎のエースとして、攻守ともに存在感を発揮している 【(C)B.LEAGUE】
川崎は中地区制覇を期待されたシーズンだった。エースのニック・ファジーカスが昨年4月に日本国籍を取得。代表の主将を務める篠山竜青、辻直人、藤井祐眞らガード陣も健在。
さらに今季はファジーカスにない強みを持つ2人もチームに加わり条件はそろっていた。バーノン・マクリンは動きの良さと強さを兼備し、右のフックシュートを武器とするインサイドプレイヤー。シェーン・エドワーズは個人技の高いアウトサイドタイプだ。
ただファジーカスも含めた3人のローテーションと連係が「ハマった」かというとそれは疑問だ。またマクリン、エドワーズには低いフリースローの成功率を改善できなかった。
林翔太郎、増田啓介(特別指定選手/筑波大)の台頭こそあったが、ベンチメンバーの押し上げも期待を下回った。観客数の大幅な伸びは明るい材料だが、40勝20敗という成績は彼らにとって不本意なものだろう。
さらに川崎は辻が4月19日の三河戦で負傷。シューターを欠いて大一番へ臨むことになる可能性が高い。栃木撃破にはレギュラーシーズン「以上」の強みを出す必要がある。