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高校野球監督の名言66

「相手の嫌がることをするのが作戦だ」
明徳義塾・馬淵史郎

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初戦連勝記録を持つ明徳義塾・馬淵監督
初戦連勝記録を持つ明徳義塾・馬淵監督【写真は共同】

 野球は、相手があるスポーツだ。いくら150キロの球を投げても、豪快なフルスイングをしても、打たれたり、空振りをしたりしていては、勝つことはできない。自分のやりたいことではなく、相手の嫌がることをやる。相手の心理や弱点を突き、勝つために最善の策を考えるのが指揮官の役割だ。


 それを実践しているのが明徳義塾・馬淵史郎監督。積み上げた甲子園通算勝利は歴代6位の50を数える。相手をじっくりと分析したうえで、どうすれば勝つ可能性が高くなるかを考えるのが馬淵監督の腕の見せどころ。その結果が、夏の甲子園に初出場した1990年から2014年まで続いた初戦15連勝につながった。ルールを守ったうえで、どうすれば勝てるかを考えるのが監督の仕事。百戦錬磨の馬淵監督の考える、勝つための方法とは?

相手を徹底的に分析し勝つ確率の高いものを選ぶ

松井秀喜を5打席連続敬遠して物議を醸した明徳義塾・馬淵監督。その真意を説明する
松井秀喜を5打席連続敬遠して物議を醸した明徳義塾・馬淵監督。その真意を説明する【写真は共同】

 この人が何かすると、スタンドがざわつく。たとえそれが、常識的な作戦であっても。


「オレは悪役だからな」


 そう言って苦笑いするのが、明徳義塾・馬淵史郎監督だ。1992年の夏、超高校級スラッガーといわれた星稜・松井秀喜(元ヤンキース)を5打席連続敬遠して以来、甲子園のファンを敵に回してしまった。2003年夏の横浜商大戦、0対0で迎えた6回表二死二塁で四番の給前信吾を敬遠したときは当然の策にもかかわらず、給前は2球目を抗議の空振り。スタンドからはブーイングを受けている。その試合後、馬淵監督は不満を隠さずこう言った。


「相手の嫌がることをするのが作戦だ」


 その真意はこうだ。


「バレーのサーブだって毎回『弱いな』と思うところに打つやろ。テニスでも相手がフォアハンドよりバックハンドが弱いと思ったら弱い嫌なほうに打つ。それでスポーツは成り立ってる。相手が得意なところにサーブを打ってやるバカがどこにおるんよ。でしょ? 作戦ていうのはそんなもん。スポーツで汚いだなんだ言うて、ルールの中でやることを論じちゃいかんのよ。そんなこといったらスポーツにならん。(そうしないなら)データ取ることもない」

田尻賢誉

スポーツジャーナリスト。1975年12月31日、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『智弁和歌山・高嶋仁のセオリー』、『高校野球監督の名言』シリーズ(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動も行っている。「甲子園に近づくメルマガ」を好評配信中。

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