「泣くな。オレに約束できるか?」 日本文理・大井道夫
高校野球ファンにとって忘れられない試合の1つ、09年夏の「日本文理vs.中京大中京」。あの試合が生まれた背景には、大井元監督がかけた言葉にある 【写真は共同】
※リンク先は外部サイトの場合があります
子どもたちは甲子園で変わった
2009年夏の甲子園決勝、日本文理対中京大中京。日本文理はあと1人まで追い込まれていた。一番の切手孝太が四球を選び、続く高橋隼之介が左中間へ二塁打。意地の1点を返し、甲子園はあたたかい拍手に包まれた。三番の武石光司がライト線を破る三塁打で続く。四番の吉田雅俊はサードへファウルフライを打ち上げるも、これを河合完治が落球。命拾いの後、死球で出た。さらに高橋義人が四球を選んで満塁。打席には投手の伊藤直輝が入った。アルプスから広がった大声援は、一塁側スタンド、そしてバックネット裏へ。期せずして、「伊藤コール」が起きた。歓声に応え、伊藤はレフト前に2点タイムリー。続く代打の石塚雅俊もレフトへタイムリーを放って、とうとう1点差に詰め寄った。
打者一巡し、若林尚希の打球も快音を残してサードへ。だが、強烈なライナーは河合のグラブに吸い込まれた。試合終了。中京大中京の優勝が決まったにもかかわらず、甲子園は日本文理の怒涛の反撃へのどよめきが残ったままだった。センバツでは清峰・今村猛(現広島)の前に完封負けを喫して初戦敗退。大井元監督曰く「49代表中下から10番前後の力しかない」チームが、決勝にたどりついた。新潟県勢初の大旗がかかったが、大井元監督は満足していた。決勝戦の前も指示は何もない。選手たちには、こう言っただけだった。
「お前たちはもう力以上のものを出した。オレはきのうまでの戦いで十分だよ。とにかく今日の結果がどうであれ、笑顔で新潟へ帰ろう。泣くようなことはするな。オレに約束できるか?」
続きはスポーツナビ公式アプリ(無料)で読むことができます。
- アプリケーションはiPhoneとiPod touch、またはAndroidでご利用いただけます。
- Apple、Appleのロゴ、App Store、iPodのロゴ、iTunesは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
- iPhone、iPod touchはApple Inc.の商標です。
- iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
- Android、Androidロゴ、Google Play、Google Playロゴは、Google Inc.の商標または登録商標です。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ