連載:やる気にさせる高校野球監督の名言ベスト66

「元をたどりなさい。それが本当の感謝」 花巻東・佐々木洋

田尻賢誉
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広島の高橋樹也(写真)がドラフト指名された際、花巻東の佐々木監督がかけた言葉とは? 【写真は共同】

「岩手から日本一」を合言葉に、捕球姿勢までとるバックアップ、一塁ベースのはるか向こうまで駆け抜ける全力疾走など個性的な取り組みで東北勢初の全国優勝に挑む花巻東・佐々木洋監督。2009年春の準優勝をはじめ、09年夏、13年夏もベスト4入りを果たしている。その過程では、18年、MLBでア・リーグ新人王を獲得した“二刀流”大谷翔平(エンゼルス)や19年、MLBデビューを果たした菊池雄星(マリナーズ)など日本を代表するスーパースターを輩出した。ただ野球がうまい選手ではなく、人間的にも応援される人の集団になって優勝するのが佐々木監督の目標。結果が出ても勘違いせず、応援される人になるため、佐々木監督が選手たちに言い聞かせていることとは?

元をたどることを忘れてはいけない

 2015年の夏。花巻東のエース・高橋樹也(現広島)は躍動した。
 甲子園では専大松戸を相手に先発し、10奪三振2失点で完投。救援で登板した2回戦ではセンバツ優勝の敦賀気比を4回無失点に抑えて殊勲の星を挙げた。その活躍が認められ、大会後はU-18ワールドカップ日本代表に選出。秋のドラフトでは広島から3位指名を受けた。高校生なら、有頂天になってもおかしくない状況だ。
 そこで、佐々木監督は高橋にこんな話をした。

「元をたどって考えなさい。ドラフト3位で指名されたのは、U-18で日本代表に選ばれたからだ。日本代表に選ばれたのは、甲子園に出られたからだ。甲子園に出られたのは、岩手県大会で優勝できたからだよな。じゃあ、県大会で自分はどうだった? 決勝は調子が悪く、一関学院に8失点してる(16安打を浴びながら、延長13回9対8で勝利)。勝てたのは打線のおかげ。バッター陣に感謝だよな」

 人間は“今”だけを見てものを考えがちだ。それまでにどんなことがあったか、どれだけの人にお世話になったのかを忘れ、すべて自分の実力だと勘違いしてしまう。そうならないよう、佐々木監督は釘を刺したのだ。
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著者プロフィール

田尻賢誉

スポーツジャーナリスト。1975年12月31日、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『智弁和歌山・高嶋仁のセオリー』、『高校野球監督の名言』シリーズ(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動も行っている。「甲子園に近づくメルマガ」を好評配信中。

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