連載:やる気にさせる高校野球監督の名言ベスト66

「好きにならないとやんちゃは伸びない」 明秀日立・金沢成奉

田尻賢誉
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光星学院(現八戸学院光星)を屈指の強豪校にした明秀日立の金沢監督。当時の教え子である坂本勇人は、関西で有名なワルだったが、金沢監督の下で巨人のドラフト1位指名されるまでに成長した 【写真は共同】

 青森・光星学院(現八戸学院光星)を全国屈指の強豪に育て、茨城・明秀日立も甲子園初出場に導いた金沢成奉監督。「やんちゃは金沢監督に預けろ」と言われるぐらい、全国の中学指導者がひとくせもふたくせもある子の指導を金沢監督に託す。他校が敬遠しそうな“ワル”であっても預かり、本気でかかわるのが金沢監督。人間味、そして愛があふれる熱い指導で更生された子供は数多い。
「何か言って問題になったら一大事」と自分のことばかり考え、本気でかかわらず、怒る先生も少ない時代に、どうやって扱いづらいやんちゃな子たちと向き合うのか。金沢監督流の“ワルの指導法”とは?

指導者には我慢とロマンが必要

「やんちゃは金沢監督に預けろ」

 そう言われるぐらい、金沢監督のもとにはワルが集まってくる。光星学院(現八戸学院光星)で監督を務めていたときは、関係者の間では、ワルを更生させるという意味で、“更生学院”と呼ばれていたほどだ。手を焼いてどうにもならないやんちゃな子でも、金沢監督にかかると更生される。指導者ならかかわりたくないような生徒相手に、なぜ、そんなことができてしまうのか。

「ズバリ、好きになることなんですよ。そいつを好きになってやらなければ、やんちゃは伸びないです。『金沢さんだから、やんちゃな子を育てられるんでしょ』って言われますけど、違います。そう言う人は、やんちゃが嫌いなだけ。彼らを許さないんでしょと。僕は怒ったり、さんざんキツイことも言いますけど、基本的には許してるんです。なんで許すかというと、そういう子らが好きなんです。好きじゃないと預かれないですよ
 悪い子、やんちゃな子って、結局は大人に認められていない。嫌われてるんです。子どもは絶対そういう大人を嫌うじゃないですか。僕は自分も悪かったから、あいつらの気持ちがわかるんです。好きになってやるというよりも、好きなんですよね。これは生理現象だから、嫌いになれない。腹も立つし、ムカつきます。そのときは怒りますよ。好きだから真剣にね」

 今の時代、本物の教師がほとんどいない。やんちゃな子に注意して反抗されるぐらいなら、無視して問題を起こされないほうがいいと考える。「何かあったら困る」と考え、何もしない大人ばかりだ。
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著者プロフィール

田尻賢誉

スポーツジャーナリスト。1975年12月31日、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『智弁和歌山・高嶋仁のセオリー』、『高校野球監督の名言』シリーズ(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動も行っている。「甲子園に近づくメルマガ」を好評配信中。

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