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センシュケンで輝いた5人のヒーロー
彼らにとって「高校サッカー」とは

高校サッカーが生んだ名選手、名勝負

伝説の「雪の決勝」を制し、東福岡が初優勝。エース本山雅志(中央)が躍動した
伝説の「雪の決勝」を制し、東福岡が初優勝。エース本山雅志(中央)が躍動した【写真:アフロスポーツ】

 サッカー界における冬の風物詩「全国高校サッカー選手権大会」が間もなく幕を開ける。第97回大会の開幕は、12月30日。その開幕に先立ち、過去の大会で活躍した5人のヒーローに話を聞いた。


 連載第1回に登場するのは、1979年度生まれの“黄金世代”のひとりとして今もピッチに立ち続ける本山雅志だ。


 選手権との相性は抜群だった。当時、急速に力をつけ始めていた東福岡(福岡)は、小島宏美と山下芳輝のFWコンビを擁し、優勝候補の一角として第74回大会(1995年度)に臨んだ。そのチームの1年生ボランチとして脚光を浴びたのが本山だ。そして2年後、東福岡は圧倒的な強さでトーナメントを駆け上がり、帝京(東京)との「雪の決勝」を制して日本一の栄冠に輝く。子どもの頃から憧れた“選手権”について、本山が言う。


「四中工(三重)の小倉(隆史)さんとか、鹿実の城(彰二)さんとか、清商の(川口)能活さんとか。僕らの世代からすると、みんな“選手権の人”という感じですよね。本当に憧れました」

「四中工の小倉」と言えば、オールドファンは第70回大会(1991年度)決勝の名勝負を思い出すだろう。


“レフティモンスター”小倉隆史を筆頭に、中田一三、中西永輔と好タレントを擁した四日市中央工に対するは、松波正信と阿部敏之のU−18日本代表2年生コンビが異彩を放つ帝京。小倉が1点、松波が2点と両エースが活躍し、2−2で両校優勝となったこの試合、帝京のキャプテンを務めたのが本連載第3回に登場する日比威だ。


 4年前、日比は母校・帝京の監督に就任した。高校サッカーにとって必要なのは、勝利か、それとも育成か。高校時分に選手として直面したジレンマに、今度は指導者として向き合っている。

“選手権”をめぐる物語から考える

かつて“怪物”平山相太に憧れた浅野拓磨は、その後、同じ選手権の舞台でヒーローに輝いた
かつて“怪物”平山相太に憧れた浅野拓磨は、その後、同じ選手権の舞台でヒーローに輝いた【写真:アフロスポーツ】

 帝京と優勝を分け合った第70回大会以来、四中工が決勝の舞台に臨んだのは20年後のことだった。指揮官は20年前にコーチとしてベンチに座った樋口士郎。エースストライカーとして得点王に輝いたのは、2年生FWの浅野拓磨だった。子どもの頃、たまたま目にした選手権で輝いた“怪物”のインパクトをはっきりと覚えている。


「平山相太さん。『この人すごいな』と思ったし、テレビを通じてその“怪物”ぶりにワクワクしたことを覚えています。僕の中では『選手権=平山さん』なんですよね」

 通算最多得点「17」を記録している平山は、選手権史上に残る“怪物”のひとりだろう。その2年時、決勝の舞台で平山を完封し、国見(長崎)を倒して頂点に輝いたのが市立船橋(千葉)の増嶋竜也だ。連載第2回で登場する彼は、6万人の大観衆がスタンドを埋め尽くした決勝について、こう振り返った。


「入場した瞬間からものすごい歓声が耳に入ってきて、全身にブワーっと鳥肌が立ったことだけはっきり覚えています。あんなに興奮したのは初めて。あとはもう、完全に舞い上がってしまってワケがわからなかった」


 無我夢中になって、増嶋は平山を抑えた。その結果として、市立船橋に4度目の栄冠をもたらした。

 そして、この連載の最後に登場するのが“怪物”の系譜を継ぐストライカー、小川航基である。現在21歳の彼が桐光学園のキャプテンとして選手権の舞台に立ったのは3年前のこと。第94回大会(2015年度)に優勝候補の一角として臨んだが、同大会屈指のタレントとして脚光を浴びた小川はチームにタイトルをもたらすことができなかった。最後の試合で外した2本のPKが、頭から離れない。

 高校サッカー界の頂点を決する“選手権”は、その長い歴史の中で数々のヒーローを輩出してきた。すべてを懸けてこの大会に挑んだ彼らにとって、選手権はどんな意味を持っていたのか。また、サッカー選手としてのキャリアにおいて、高校時代の3年間はどのような時間だったのか。“選手権”をめぐるそれぞれの物語から、あらためて高校サッカーと選手権の価値を考える。

配信スケジュール(スポーツナビ公式アプリ)

第1回 本山雅志(ギラヴァンツ北九州/東福岡) 配信中

「選手権はひとつの通過点。でも、ものすごく大事な通過点だった」


第2回 増嶋竜也(ジェフユナイテッド千葉/市立船橋) 配信中

「選手権で手にした折れない心。だからまだ、ピッチの上でプレーできる」


第3回 日比威(帝京高監督/帝京) 配信中

「“帝京”の看板があったから…選手権の輝きは今も変わらない」


第4回 浅野拓磨(ハノーファー/四日市中央工)配信中

「選手権での教訓なんです。同点ゴールでジャガーポーズはやらない」


第5回 小川航基(ジュビロ磐田/桐光学園) 配信中

「選手権の怖さなのかな。ようやく“あのPK”から解放された」

細江克弥

1979年生まれ、神奈川県藤沢市出身。『ワールドサッカーキング』『Jリーグサッカーキング』『ワールドサッカーグラフィック』編集部を経て2009年に独立。サッカーを中心にスポーツ全般にまつわる執筆、アスリートへのインタビュー、編集&企画構成などを手がける。

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