バロンドール“5位”のメッシ活躍に思う あいまいな選考基準は権威を落とす
栄誉はモドリッチ、メッシは5番手
未だ衰えない輝きを見せるメッシ。しかしバロンドールの投票結果では5番手に甘んじた 【Getty Images】
言うまでもなくモドリッチは優れたタレントの持ち主であり、近年のFIFAベストイレブンに名を連ねてきた。しかも今年はレアル・マドリーの中心選手としてチャンピオンズリーグを制し、ワールドカップ(W杯)ロシア大会ではクロアチア代表を決勝進出に導いている。
その意味では、彼が限られた選手のみがたどり着けるトップエリートの仲間入りを果たしたことは確かである。だがリオネル・メッシが5番手に甘んじたというバロンドールの投票結果は、その年のベストプレーヤーに与えられるべき、この賞の選考基準がどこにあるのか、あらためて疑問を投げかけることになった。
これがチーム単位の賞であったならば問題はなかった。フットボールは団体競技であり、目標を達成できたかどうかはチーム単位で評価すべきだからだ。
しかし、それはいち選手の評価基準にはならない。選手個人のパフォーマンスを評価するのであれば、個人的に優れたシーズンを送っても、チームとして良い結果を出せない場合もあるからだ。故に重視すべきはチームタイトルの有無ではなく、選手個人の活躍ぶりでなければならない。
W杯の成績が重視されるのは不公平
モドリッチを頂点へ押し上げたと考えられるW杯での活躍。出身国によってはW杯に縁遠い選手もいる 【Getty Images】
メッシは出場するほとんどの試合で別格のパフォーマンスを発揮し続け、31歳にしてキャリア通算1000ゴール以上を積み重ねてきた。1試合平均0.9ゴールはほとんど完璧に近い数値である。
はたしてそのメッシが、今年の最優秀選手を選ぶ投票で5位にとどまることなどあり得るのだろうか。もしW杯の成績が個人賞の評価基準として重視されるのであれば、強豪国の出身ではないズラタン・イブラヒモビッチのような選手が受賞する可能性は皆無になってしまう。
ウェールズ出身のギャレス・ベイルもそうだ。W杯に出場できなかった彼は、レアル・マドリーでの獲得タイトルのみで他の選手たちとの優劣を判断されることになる。彼個人がクラブと代表でもたらしてきたパフォーマンスを考慮すれば、それは不公平だと言わざるを得ない。