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バロンドール“5位”のメッシ活躍に思う
あいまいな選考基準は権威を落とす

栄誉はモドリッチ、メッシは5番手

未だ衰えない輝きを見せるメッシ。しかしバロンドールの投票結果では5番手に甘んじた
未だ衰えない輝きを見せるメッシ。しかしバロンドールの投票結果では5番手に甘んじた【Getty Images】

 12月3日、レアル・マドリーのルカ・モドリッチが権威ある「フランス・フットボール」誌が主催する年間最優秀選手賞、バロンドールに選ばれた。これで彼はFIFA(国際サッカー連盟)主催の「ザ・ベスト」、UEFA(欧州サッカー連盟)主催の欧州最優秀選手賞に続き、2018年の個人賞を独占することになった。


 言うまでもなくモドリッチは優れたタレントの持ち主であり、近年のFIFAベストイレブンに名を連ねてきた。しかも今年はレアル・マドリーの中心選手としてチャンピオンズリーグを制し、ワールドカップ(W杯)ロシア大会ではクロアチア代表を決勝進出に導いている。


 その意味では、彼が限られた選手のみがたどり着けるトップエリートの仲間入りを果たしたことは確かである。だがリオネル・メッシが5番手に甘んじたというバロンドールの投票結果は、その年のベストプレーヤーに与えられるべき、この賞の選考基準がどこにあるのか、あらためて疑問を投げかけることになった。


 これがチーム単位の賞であったならば問題はなかった。フットボールは団体競技であり、目標を達成できたかどうかはチーム単位で評価すべきだからだ。


 しかし、それはいち選手の評価基準にはならない。選手個人のパフォーマンスを評価するのであれば、個人的に優れたシーズンを送っても、チームとして良い結果を出せない場合もあるからだ。故に重視すべきはチームタイトルの有無ではなく、選手個人の活躍ぶりでなければならない。

W杯の成績が重視されるのは不公平

モドリッチを頂点へ押し上げたと考えられるW杯での活躍。出身国によってはW杯に縁遠い選手もいる
モドリッチを頂点へ押し上げたと考えられるW杯での活躍。出身国によってはW杯に縁遠い選手もいる【Getty Images】

 とりわけメッシは特別なケースだ。彼は過去10年にわたって毎シーズン40ゴール以上を挙げ、あらゆる個人記録を塗り替えてきた選手だが、今年のW杯ロシア大会ではアルゼンチン代表を成功に導くことができなかった。06年にはW杯ドイツ大会で優勝したイタリア代表のファビオ・カンナバーロがバロンドールを受賞したが、今回もW杯の成績が重視された結果だったと言える。


 メッシは出場するほとんどの試合で別格のパフォーマンスを発揮し続け、31歳にしてキャリア通算1000ゴール以上を積み重ねてきた。1試合平均0.9ゴールはほとんど完璧に近い数値である。


 はたしてそのメッシが、今年の最優秀選手を選ぶ投票で5位にとどまることなどあり得るのだろうか。もしW杯の成績が個人賞の評価基準として重視されるのであれば、強豪国の出身ではないズラタン・イブラヒモビッチのような選手が受賞する可能性は皆無になってしまう。


 ウェールズ出身のギャレス・ベイルもそうだ。W杯に出場できなかった彼は、レアル・マドリーでの獲得タイトルのみで他の選手たちとの優劣を判断されることになる。彼個人がクラブと代表でもたらしてきたパフォーマンスを考慮すれば、それは不公平だと言わざるを得ない。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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